骨董蒐集

自分の親父と骨董の話を書きます。 親父は紡績の工場を経営していましたが、何を思ったか50歳のときにすっぱりとやめてしまい経営権から何から一切を売り払ってしまいました。 これは当時で十億近い金になり、親父は 「生活には孫の代まで困らんから、これから好きなことをやらせてもらう」 と言い出しました。 しかしそれまで仕事一筋だった父ですから、急に趣味に生きようと思っても、これといってやりたいことも見つからず途方に暮れた感じでした。 あれこれ手を出しても長続きせず、最後に残ったのが骨董品の蒐集でした。 最初は小さな... 続きを読む

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送り番

子どもの頃、ひい爺さんから聞いた話を書きます。 ひい爺さん(以下爺さん)は明治の早い時期の生まれで、しかも山村で育ったためいろいろと奇妙な風習を知っていて、自分が子どもの頃によく話してくれました。 爺さんの村では送り番という役回りがあり、これは三軒ひと組で回り番で当たる遺体の埋め役のことだそうです。 当時爺さんの村はまだ土葬で、寺で葬式を行った後に、遺体の入った棺桶を荷車にのせて村はずれにある墓域まで運ぶのです。 村の顔役や男手のない家では代わりを頼むこともできましたが、葬式では酒も振るまわれ些少の礼金も... 続きを読む

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坪の内

自分の実家は築100年。 岐阜県に大正村というところがあるが、そこで公開している家にそっくり。 中庭を囲むように、母家・渡り廊下・離れがコの字状に並んでいる。 子供の頃、なぜか、じいちゃんから「夕方は坪の内(中庭)に行ったらあかん」と言われていた。 トイレは離れの横にあるので、生活空間の母家から夜でも真っ暗な渡り廊下を通って、トイレに行かなければならなかった。 仕方ないので、夕方だけは尿意を催すと、近くのコンビニへ行くか我慢していた。 中庭は坪の内といい手入れされた数本の木と苔むした石のまわりに白石を敷い... 続きを読む

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騒音トラブル

大学時代に味わった後味悪い話。 私が住んでいた部屋の真上にあたる部屋の入居者が入れ替わった頃から、朝は4時や5時から、夜中は2時や3時まで大音量の音楽が響いてくるようになりました。 当時私はその部屋で暮らして7年目でしたが、集合住宅には付き物の、いわゆる生活騒音(足音やドアの開閉音など)などとは別物である大音量の音楽というのは初めてのことで、しかも早朝から深夜までずっと鳴り続けているためにかなり驚きました。 騒音被害に遭うと異様に神経が尖ってしまい、家にいても「いつ音が鳴り出すか」とビクビクして常に緊張状... 続きを読む

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ゴギョウ様

俺がまだ消防だったころ、母方のじっちゃんの田舎で体験した洒落にならん話。 口止めされていたけど、もう爺ちゃんが他界して十年くらいになるから話す。 関わりたくない人は、読まない方がいい。 話していたら大体バレちゃうから伏せても仕方がないんだけど、じっちゃんは東北地方の、ある町の生まれだ。 このじっちゃんは変わった人で、じっちゃんの癖に好き嫌いが激しい。 特に驚いたのは、ご飯が好きなのにお粥は大嫌いだ。 宗教も大嫌い。 父が新興宗教にハマっていたこともあって宗教嫌いになっていた俺は、身勝手に振る舞うじっちゃん... 続きを読む

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