怖くはないのですが、不思議な体験をしたので投稿します。 もうだいぶ前のことになりますが、当時私は金属加工の小さな工場を経営していて、折からの不況もあってその経営に行き詰まっていました。 そしてお恥ずかしい話ですが、自殺を考えたのです。 もう子供たちは成人しておりましたし、負債は生命保険で何とかできると思われる額でした。 今にして思えば何とでも道はあったのですが、精神的に追い詰められるとはあのことでしょう。 その時はそれしか考えられなくなっていました。 五月の連休の期間に、家族には告げずに郷里に帰りました。... 続きを読む
船流し
昔の話なんだけど、夢に出てきて思い出してしまったので投下。 故郷では初盆に舟を海に流す風習がある。 精霊流しと似てるけど別の行事。 幼児なら寝そべることができそうな大きさの木製舟で、新しい白装束とわらじ、盆菓子や果物などを入れて、舟の周囲に枠を組んで多数の小提灯で飾り立てるんだ。 流したときに提灯の火が燃え移って炎上したり舟が沈むととても縁起が悪いので、提灯の飾りつけには細心の注意が必要になる。 縁起が悪いとされているだけで、特に何かが起こるわけじゃないけどね。 俺が小さい頃に、祖母が亡くなったので舟を流... 続きを読む
ナレーション
小学5年生の頃、アメリカでワールドカップが開催された。 だからというわけじゃないけど、幼馴染のNとよく近所の公園でサッカーをしていた。 ある日 「たまには別の公園でやろう」 という話になり、自分たちの行動範囲外のまだ行ったことのない(あるということだけ知っている)公園に行ってみることになった。 その公園は昼間でも薄暗くジメジメしていて、何となく神社の敷地を思い起こさせた。 俺もNもその薄気味悪い雰囲気がたいそう気に入り、かなり遠いにもかかわらず自転車で度々遊びに行くようになった。 何度目かのある日、Nとそ... 続きを読む
お守りババア
地元のキチガイの話。 オレが小学生だった頃、地元に有名なキチガイババアがいた。 あだ名は『お守りババア』 お守りババアは俺が通っていた小学校の正門前に、夕方頃になるといつも立っていた。 お守りババアは一年中厚手のコートを着ていて、同じくいつも被っているフェルトの帽子には、沢山の小さなぬいぐるみが縫い付けてあった。 コートも帽子も原色まんまの赤一色で、教室から校門を見ただけで、一目でお守りババアがいる事が分かった。 お守りババアはいつも両手を体の脇にぴたりとつけた気をつけの姿勢で、その姿勢を崩す事は決してな... 続きを読む
紙を破る
子供の頃いた実家に変わった風習? があってな。 家庭毎に微妙に異なるのもあるけど、共通するのは「人」って書かれた紙を年の数だけ破るってもの。 「人」の数も年の数だけ書く。 そして破る時は手で、「人」の字が破れないようにするんだ。 TVのCMとか、暇な時にチラシとかメモ帳に書いてやるように習慣付いてたんだけど、毎年10月の2週目頃に本番みたいなのをやるんだ。 やるのはいつも夜で、習字で使うような和紙を使ってた。 最初は子供からやって、最後は爺婆がやる。 終わった後は特に何かある訳じゃなくて、田んぼの様子をみ... 続きを読む
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