知人の劇団員が、地元の猟師さんの笑い話を元にまとめて劇を作ったことがある。長くなりますが、よろしければ暇つぶしにどうぞ。 元号がいくつか前の時代のお話。木樵と炭焼きと猟師を兼業で生活している老人とその弟子の少年が、二人で細々と暮らしていた。 ほんの童子の頃から手伝いを続けていた少年も、もう一人前と認められるようになり、老人は猟の獲物の肉と皮、山菜や茸を麓の集落に売りに出る間、少年は一人で小屋で留守を守るようにと言われた。初めて一人前の男と認められたようで、少年は多少の不安はあったものの喜び勇... 続きを読む
動物にまつわる怪異
... 続きを読む
やまあら
小学4年か、5年の夏休みだったと思う。両親の仲がうまくいかなくなり、色々あって、半月あまり父親の実家に預けられた。祖父も祖母も優しくしてくれたので寂しくはなかった。 特に祖父は、釣りの好きなオレを気に入ってくれていた。(どうもオレの父親は、釣りが好きじゃなかったらしい)今日は朝方○×の港、明日は夕方△□の磯、そんな感じで色々な釣り場で釣りの秘訣を教えてくれた。「アキ(←オレ)はなかなか筋が良いわ、タケ(←父)は全然駄目だったがな……」そう言って笑う祖父の顔を見ると、オレも嬉しくなる。自分でも色々工... 続きを読む
震災にあった猫
実家が被災地にある。あの大津波のとき、地元では避難のサイレンが鳴った。うちの母親が猫を探したが見つからない。ぎりぎりまで探したようなんだが、家の中にはいなかった。外に出ていたらしい。うちの2階にある二段ベッドの上段まで波が来たみたいから、外にいたとしたら絶望的らしい。その夜、実家はプロパンガスによる火災で全焼した。地震津波による二次災害。本格的に猫は死んだと思う。 俺は被災地にいなかったので、両親の安否も二、三日確認できなかった。被災地は、報道もなかなか入れないような瓦礫の山ばかりだった。... 続きを読む
犬の軍団
小学生だった時の話。 たしか二年生か三年生くらいの時だったと思います。 いつもは近所の子と一緒に登校するんですがその日はお休みで、私一人で家を出て途中で違う地区の子達と合流して登校する予定でした。 凄く田舎なので極力一人登校しないようにっていう決まりだったんです。 だからいつもより早めに家を出て、歩いて十分くらいの合流地点まで向かう途中でした。 そこで犬の軍団に会ったんです。 軍団って行っても5匹なんですが、小学生の中でも特に小柄な私から見るとすごい迫力だったのを覚えてます。 一瞬ビクッ... 続きを読む
クワちゃん
私が小学校2年のことです。 クラスにSちゃんというタロット占いが得意な子がいました。 タロットなんてシャレたものが物珍しかったことと、良く当たるだとかで、たちまちSちゃんはクラスの人気者になり、その人気は他のクラスや他の学年にも飛び火していました。 クラス中が彼女からアドバイスを貰いたがって、なんだか卑弥呼とその信者みたいな感じになり、それに気を良くしたのか、Sちゃんはそのうち 「私、霊が見える」 と自称し始めました。 元々気が強めの子だったのですが、エスカレートして仕舞には、 「それ、良く... 続きを読む
最近のコメント