離島にまつわる怪異

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托鉢の僧

海の話です。 本土の漁村の沖には島があり、そこにも人が住んでいました。比較的大きな島で、全体に集落が五つほどありました。 その島の最も大きな集落に、ある日、托鉢の僧侶がやって来ました。初老で痩せた彼は、静かに家の前に立って経を唱えます。なにがしかの施しをする者もいましたし、無視する者もいました。彼は、無視されたら静かにその家の前を立退き、次の家にいって経を唱えながら立つのです。そうして集落で一軒一軒まわって、次の集落に徒歩で向かいます。十日ほど見かけられましたが、その後、姿を消しまし... 続きを読む

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散骨島

島根半島から北へ50kmのところに位置する隠岐諸島。そこには180もの無人島が点在しており、そのうちの1島を散骨場所にする試みが2008年8月からスタートした。もともとは個人所有だった島を、東京都の葬儀社など8社が出資する株式会社カズラ(隠岐郡海士町)が買い取った。 言うまでもなく、散骨とはお骨を粉状にして撒くこと。焼骨のままでは撒くことは遺骨遺棄罪に触れるので、必ずmm単位まで砕かなければならない。規定では一応2mmになっているが、1mmが理想だそうだ。 さらに撒く場所はどこでもいいわけで... 続きを読む

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海の火葬場

その無人島は『海の火葬場』 岡山県笠岡市の沖合いに浮かぶ高島、白石島、北木島、真鍋島の4島を笠岡諸島という。北木島と白石島のちょうど中間に、地元の人が通称『タテ』と呼ぶ小島がある。地図上では正式名を『縦島』といい、たった40メートルほどの岩場だらけの無人島にすぎない。実は平成13年まで、この『タテ』では海上の火葬場として使われていたのだ。 火葬場の施設があるわけではない。タブと呼ばれる木(クスノキ科)でヤグラを組み、その上に遺体を寝かせ、松ヤニを油代わりに野焼きしたという。大抵は夜半から明け... 続きを読む

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御殿医

親父が色々話してくれたから投下する。 本当に肝心なところが詳しく言えないけど、容易に想像つくから想像してほしい。 ただ、特定とかは本当にやめてくれ。 うちは代々、瀬戸内の片田舎で医者やってるんだけどさ、どうやら先祖は、うちからかなり離れた瀬戸内の小島で御殿医してたらしいんだよね。 でも明治時代に入ってから今の土地に移って、診療所を開設したらしいんだよ。 俺は大政奉還の時にお殿様ともバラバラになって新しく始めたんだろうなって軽く考えてたんだけど、現実の重さは違ったらしい。 どうやらうちの家は... 続きを読む

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せこの子

ひいじいさんが体験したことです。 昭和初期の話。 ある夜、じいさんが村の寄り合いが終わり、家へ帰宅していた。 山道を下り帰宅するのだが、途中小さな寺がある。 かねてよりその寺の周辺には、『物の怪』が出るとの噂があったのだが、じいさんは漁師で腕力に自信があったコトもあり、平気で暗闇の中ランプ片手に歩いてたらしい。 やがて寺の石垣が見えてきた頃、ふと見ると、目の前を小さな子供がチョコチョコと歩いている。 じいさんは 「おい、お前は何処の子かァ?」 と呼びかけてみたが、その子は目の前にい... 続きを読む

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