うちの会社は結構ブラック。絆を深めるためなのか精神修行なのか知らないけど毎年新入社員に山登りとかキャンプとかさせてる。 今年はお寺で修行。いつもは社長ともう一人が引率するんだけど、今年は社長が直前に行けなくなって俺だけで引率することになった。新入三人(A,B,C)を連れてお世話になるお寺に行くと、住職と小坊主のSさんとOさんが出迎えてくれた。住職は常に笑みを絶やさずとても優しそうな人だ。毎朝四時半に起きて、掃除して、座禅して、読経してという感じで三日間ここでお世話になる。 1日目の夜に新人二... 続きを読む
箱の中の少女
十年以上前の話です。当時、私の祖父は腕の良い建具職人でした。私はそんな祖父の仕事ぶりを眺めるのが好きで、よく仕事場に出入りしていました。 その日、私はいつものように祖父の家を訪れ、落ちている木ぎれを拾って遊んでいました。目の前で、祖父が作業台の前に座って黙々と仕事をしています。ごつい手が器用に動いて木を削ったり部品同士を組み合わせたり、その技の冴えに私はしばし遊びの手を止めて見とれていました。 しばらくして、妙なものに気づきました。祖父の背後の壁に、使い込まれて黒光りする木の板が何枚か立てか... 続きを読む
アルバムの写真
聞いてくれ。昨日嫁の家の片付けしててとんでもない事実を発見した。俺、30才。嫁、30才。もうじき結婚2年目、仲良しです。俺は岩手、嫁は岐阜の産まれで25才すぎるまで当然お互いの存在をしる筈もなく生きてきた。出会いは26才当時、バリ島の格安ツアーで一緒になった事。 んで、昨日まで嫁さんの実家で慶事があったんで有休で行ってたんだ。ついでに実家の納戸を片付けてあげようって事になって(義母一人暮らしで男でないもんで)。がさごそやってたらお決まりの古いアルバムやらクラス文集やら発掘して、ぱらぱらめくって眺め... 続きを読む
赤ババア
幽霊とかじゃないけど、俺が小学校の時に体験した話。ちょっと長くなるけど語ってみる。 小学生の頃、俺は埼玉県南のとある街に住んでいた。そこでは「赤ババア」と呼ばれていた基地外がよく出没していた。ババアと言っても、多分当時30代後半~40代位のオバハン。皮膚病なのか何なのか、顔中赤いブツブツで覆われていて(故に赤ババア)いつも裸足という不気味さだった。 赤ババアは他人の家の玄関先の路面で寝ていることが多かった。特に誰の家の前とは決まってなかったと思う。赤ババアのことを知らない通りがかりの人が、行... 続きを読む
墓のある庭
そんなに怖くないかもしれませんが、私の体験談です。埼玉県のある地域に住んでいるのですが、何代も前から住んでいる人たちの間にある習慣があります。それにまつわるお話です。 ある家の敷地の隅には、お地蔵さんが2体置いてありました。車でいつも通りかかるのですが、私が「お地蔵さんかわいいね」なんていってにこにこして覗き込むと供えてある風車が回ったりしていました。なんかうれしかったです。 母は「これね。墓なのよね……」となぜか言い出し私は墓なのかぁと認識しました。寺社などが大好きな私が期待するように、信... 続きを読む
最近のコメント