私がまだ小さかった時に体験した実話。 ある夏に近所の神社の縁日でたくさんの屋台が出ており、そこで『べっ甲飴』の屋台が出ていました。飴は小さくてまるい物という認識しかなかった私は、色付きガラスの様なべっ甲飴とむせ返る様な飴の甘い匂いにわくわくしました。 一緒にいた両親は『綺麗ね』とは言うが、『虫歯になってしまう』『こんな大きいのは食べ切れない』などの理由で買ってはくれず、べっ甲飴にすっかり魅了された私は次の日から毎日屋台を一人で見に行っていた。 数日続いた縁日の最終日になり、その頃には顔... 続きを読む
ぐるぐる巻きの鐘
あたり一面山だらけ。どこを見渡しても山ばかりという地方の出身です。 小さい頃からお世話になっていたお寺に『鐘』がありました。『鐘』と書いたのには理由がありまして、それは布と縄でぐるぐる巻きにされていたからです。鐘を撞く丸太もついていません。なので、ある程度の年頃になってアニメの一休さんなどを見るようになり、寺の隅の屋根つきの一角にあるべきものは鐘なんだな、ということがわかるようになりますと、そのぐるぐる巻きの中身は鐘なんだろう、と感じるようになるというくらいで、誰も中身を見たことはありませんでした... 続きを読む
イブシ
じっちゃま(J)に聞いた話。昔Jが住んでいた村に、頭のおかしな婆さん(仮名・梅)が居た。一緒に住んでいた息子夫婦は、新築した家に引っ越したのだが、梅は「生まれ故郷を離れたく無い」と村に残った。しかし他の村民の話では、「足手まといなので置いて行かれた」そうだ。 その頃から梅は狂いはじめた。普通に話しをしているかと思うと、いきなり飛びかかり腕に噛み付く。腕の肉が削り取られる程に。そんな事が何度かあると、「ありゃあ、人の肉を食ろうておるんじゃなかろうか」と、村中で噂が広まった。 まだ子供だったJは... 続きを読む
マシャノォ
今は亡き祖父の昔話。祖父と父が混同するので、祖父はAと表する。 Aは村人全員家族っていうような山の集落で育った。夏場は回りの村や町からくる行商などもいるが、冬になると道も雪に埋れてしまう。Aの一族は元来マタギの家系で、冬の間は村のみんなが、祖父の家族が取ってくる動物で食事の大半を賄っていた。その代わりAの家は栄えて、夏の間は遊んで暮らしていたそうだ。 Aが小さい頃は兄弟や親が取ってくる動物に何も疑問も持たなかったが、歳を取るごとにこう思ったそうだ。「こんなに安定してすごい量が取れるのはおかし... 続きを読む
隣がうるさい
とある用事で上京した時に、そのままストレートに帰るのもつまらんから、適当な所で一晩明かして、次の日に適当に買い物でもして帰ろうと思いつき、そこらにあったホテルへチェックイン。部屋に向かい、荷物をそこらに放かして就寝する事に。 ……だが、隣が五月蝿い。五月蝿すぎる。壁をドンドン叩くような音から子供の泣き声。挙句、生木を捻じるような音や喘ぎ声みたいなものまで聞こえてくる始末。 流石にこんなんじゃ寝れないぞって事でフロントに向かい、そこにいた従業員に「隣が五月蝿いので注意してくれ」と頼んだ。すると... 続きを読む
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