祖母の法事があり、先日10数年ぶりに故郷の山奥の町に帰ってみました。法事の後宴会があり、そこで遠縁の爺さんに面白い話を聞いたので書いてみます。 爺さんはその町から、更に車で一時間ばかり走る村のひとですが、(今では温泉街だってことで、そっちの村の方が栄えているんですけど)その村で代々、温泉宿を経営しているそうです。以下、爺さんが未だ壮年の頃の話ですが、便宜上、爺さんと記します。 昭和30年頃の事件だっていうから、まあ、そんなに昔ではない。腹心だと信じていた番頭の多額の横領が発覚した事が、この事... 続きを読む
【コラム】クロ宗の原典「鬼無鬼島」を読む
以前書いた「クロ宗」。このお話の恐らくのキッカケと思われる本が1957年(昭和32年)に出版された堀田善衛の『鬼無鬼島』です。というわけで早速読んでみました。旧字体で書かれているために読みづらかったですが、慣れてくると物語にぐんぐん引きこまれます。めちゃくちゃ面白かったです。で、多分今から本気で読もうとする人もいないと思いますので(旧字で大変ですし)、さくっと粗筋を書いておきます。もしどうしても自分で読みたいなら、ここで閉じてください^^; 物語は鬼無鬼島と呼ばれる島が舞台になります。ここには山部... 続きを読む
卒業式の後で
高校の卒業式が終わって担任教師を交えた全員参加のクラス会(謝恩会兼食事会)があった。先生が参加していることもあり酒類は出されなかったけど、予定では4~8時、その後は期限なしの二次会が先生の黙認のもとで開かれることになっていた。 俺は高校生活(もう10年近く前になる)を、端から見ればそれなりに謳歌してるように見えたと思う。クラスでは、というか学年全体でも人間関係をソツなくこなし愛想良く振舞っていたからだ。しかしそれは上辺だけの付き合いにすぎず、親友と呼べる友達は一人としていなかった。 中学時代... 続きを読む
印刷屋のいたずら
私、ちょっと変わった印刷屋をやってまして、仕事でお札等を印刷することがよくあります。(普通の印刷もやっていますが)そのため、よく真っ新のお札を持ち歩いていたりするのですが時々ホテルに泊まったときなんかに、つい悪戯で絵の裏とかにこっそり貼ってしまったりすることがあります。泊まった部屋で絵をひっくり返してみて、妙に真新しいお札が貼ってあって、怖い思いした人はごめんなさいね。ほんの出来心です。そうした悪戯で、個人的に一番怖い思いをしたのは、近年、人気のある温泉観光地に行ったときのことですね。 ホテルから... 続きを読む
女殺しの家
父の実家は、絶対に女の子が生まれない家系だったらしい。父の兄弟は全員男ばっかり。父方の従兄弟もオール男。冠婚葬祭はむさい光景だった。しかも嫁は早死にするらしく、父親の兄弟は全員母親が違う。最短で三年、最高でも五年で死んだそうな。 そのせいか婚外子な上、長男の父よりも年上の叔父がいる。従兄弟たちも死別を重ね、五人いる従兄弟の結婚式全部出たら、二桁回数になった。ご近所では「女殺しの家」と呼ばれ、評判最悪。一応、そこそこの名家なはずなのに。元は庄屋だかなんだかの本家直系で、今も地元の議員さんやってた。 ... 続きを読む
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