母方の祖母が信心深い人だった。幼い頃、群馬の母方の家に行くと、よく子供だった自分の手を引いて山裾の神社に連れて行った。群馬は視界に山が入らないところが無い。 母方の家は、すぐ裏がもう山だ。近隣の墓はほとんど山中にあって、蜘蛛の巣みたいに細かな路が入り組んでいる。金比羅様と祖母が呼んでいた神社というのは、丸太の鳥居、破れた障子、抜けた濡縁。管理されているとはとても言えぬ有様。でも祖母は、何度となく私をそこに連れて行った。 細い山路を私は付いて行った。祖母は神社をすごく有難がっていた。7つか8つ... 続きを読む
ヒモロギアラシ
里帰りして昔話に花咲かしてたら、面白い出来事を思い出したので投稿してみる。 僕が小学5年生の頃、九州の方からKというやつが転校してきた。当初は妙な方言を使っているという理由で苛められていたが、小学生だけあってすぐに打ち解けた。僕とYとDとKは特に仲良くなって、毎日のように一緒に遊んでいた。 そんなある日、近所の寂れた神社で暇を持て余してたら、Kが「ヒモロギアラシをしないか」と提案してきた。 ヒモロギアラシと言われても、当時小学生だった僕らはヒモロギという言葉の意味すら知らなかったのだか... 続きを読む
思い出したトラウマ
この前唐突に思い出したトラウマ。今まですっかり忘れていた。つまらないかもしれないけど、聞いてほしい。 俺がまだ生まれて間もないころ、両親と兄は今住んでいるマンションに引っ越してきた。マンションが建てられてからそれまで、その部屋を誰も使っていなかったらしく、庭にはたくさんの猫が住み着いていた。 話は変わるけど、俺が3~5歳位の時にマンション内で、猫が何匹も殺されるという事件があった。率直に言うと、それの実行犯が俺の兄貴。休日に俺が庭で遊んでいたところ、どういう経緯でそうなったかは忘れたが、庭の... 続きを読む
留学生と神社
今年のゴールデンウィークの、不思議な体験を書かせてもらいます。 わたしの家にはスーザン(仮名)という、サンディエゴからの留学生が滞在していました。母が婚前に英語の教師をした影響か、海外の留学生を受け入れるのが好きで、わたしが高校を卒業したあたりから、隔年で自宅に留学生をホームステイさせていました。 スーザンは、片言ながらも日本語でコミュニケーションをとれました。わたしが居る前では、必ず日本語を話します。単語が出てこなくて、意思の疎通が難しい話題になったときに、わたしが辞書片手に英語を使うと、... 続きを読む
肉を食べないおじさん
親戚のおじさんの話。彼は肉を食べない。菜食主義者な訳ではなく、ただ単に好きではないだけだと言う。その証拠に魚は好物で、メザシや一夜干し等の干物は食卓に欠かさない。秋刀魚の時期になるとさも旨そうに2本は平らげる。 なぜ肉が嫌いなのか? と聞いた事がある。「話してもいいが、お前も肉が食べられなくなるかもしれないぞ」という答えが返って来た。そんな酷いトラウマがあるのかと内心怯んだが、何の事は無い。昔、おじさんが結婚するよりも以前、屠殺場で働いていたのだと言う。毎日家畜を解体していて気持ち悪くなったのか、... 続きを読む
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