私は所謂『見える人』だ。 といっても『見える』『会話する』ぐらいで、他に特別な事が出来るわけではない。 例えば、分かり易く事故現場にボケっと突っ立つ、どことなく色の薄い青年。 私と目が合うと照れくさそうに目を逸らす。 20余年こんな自分と付き合っていて、生きている人間と同じくらいの“何か”に引き留められている色の薄い(元)人を見てきたが、彼らがこちらに害を加えようとした事はほとんど無い。 ある人は何かを考えこんでいるような。 またある人は虚空を睨むように、その場に留まっている。 自由自在に移動しているよう... 続きを読む
心霊
白い女
自分は小中高と、全寮制の学校に通っていた。 凄いド田舎で、そこそこに古い学校。文字通り山の中にある。 トイレの掃除とか凄かったんだ。 夏が近づくと必ず排水溝とかにゲジゲジって呼ばれてる気持ち悪い毛だらけの長い虫が潜んでて、これの退治がもう大変。 狸もよく見かけたし、雉もいた。 裏庭に生徒が何人か集まって許可取って畑作ったり。 そういう場所だから怪談話にも事欠かない。 というか教師からして結構警戒している節があった。 なんせ、この学校では大分昔とはいえ死者が出てたから。 事件性も何もない、ただの発作らしいけ... 続きを読む
上司の昔話
会社の上司の昔話で、十五年くらい前のことだという。 まだ駆け出しだった上司が、某県某町に新設の事務所に配属された。 工場に併設された事務所は市街地を遠く離れた山の中にぽつんとあり、夜には車通りも無い淋しい場所だった。 事務所の前から県道を右にしばらく行くと某町のジャスコに行き当たる。 左にしばらく行くと隣の某村に入るが村の中心部の集落まではしばらくかかる。 そんな立地だった。 その日は仕事を抱え込んで一人残業の末、疲れきって事務所を閉めた。 一人暮らしのアパートへと車を走らせていたところ、うっかり道を間違... 続きを読む
断る力
これは怖いというか、自分には教訓みたいになってる話。 だからそういう話と思って見ていただけたらありがたい。 もう十数年以上前の話だけどいまでもハッキリ覚えてる、というか忘れたくても忘れられない記憶。 こうしてネットとかで語る分にはまだ大丈夫だけど、口にするのはいまだにちょっと抵抗がある。 まあ、自分自身が直接経験した恐怖ってわけじゃないんだが……。 (注)書いてるうちになんかめちゃくちゃ長くなったから、面倒な人はスルーして下さい。 さほど怖い話でもありませんw 十数年前の話だが、自分は田舎にあるけどやたら... 続きを読む
ワケあり物件
長くなるけど、少し我慢して聞いて欲しい。 3年位前から為替を始めたんだが、向いていたんだかラッキーだったんだかで、4000万の原資が6億ちょいまで増えたんだ。 なんで親孝行も兼ねて丁度売りに出てた隣の家を買い、元々住んでた家ともども更地にして二世帯型の住居を建てることにした。 で、この時俺が拘ったのが、防音設備の整った地下室。 カラオケが趣味だったんで、専用のカラオケルームにしたかったんだ。 地鎮祭も無事終わって着工後は、毎日差し入れ持っていったりして、工事が進んでいくのを楽しみに見てた。 そんなある日の... 続きを読む
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