家は昔質屋だったと言っても、じいちゃんが17歳の頃までだから、私は話でしか知らないのだけど、結構面白い話を聞けた。 『電話機』 喜一じいちゃんの時代は電話が無かった。 無かったと言っても一般家庭での話で、お役所や大手の企業等は所有していた。 喜一だって何度か市役所で見たことがあったが、それでも少年にとっては未知の世界の機械。 ある日、そんな特別な電話機を蔵で発見したのだ。 それはもう、喜一にとっては大事だった。 蔵を飛び出し、ドタドタと縁側を駆け抜け店へと走る。 「何で何で!! 電話機が蔵に! 蔵に!?」... 続きを読む
物・道具にまつわる怪異
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卒業のサイン帳
卒業式のシーズンになると、時々思い出すことがある。 最近ふと思い出したので、書いてみようかな。 まあ、いろいろとプライバシーの問題などあるので、詳細は勘弁願いたい。 高校入試も終わり、あとは卒業式を待つだけの日々。 クラスの女子連中が、サイン帳の交換で盛り上がっていた。男は半数くらいやってたかな。 俺は遠慮して、回ってきたサイン帳にもっぱらテキトーなことを書きなぐっていた。 他のクラスメイトは何を書いているのか、ぱらぱらページをめくっていると、誰がやったのか悪質な書き込みがあった。 『おまえが死ねばよかっ... 続きを読む
サドル
この前、って言ってももう一ヶ月以上前の事なんだけど、体験した事を書きます。 川崎市の溝の口って所から自転車に乗って、東京方面に友達と遊び終わって帰る所だったんだけど、時間は結構遅くなっちゃってて、友人と別れたのが大体20時頃で、そこから15分位走ってた。 神奈川と東京の県境は多摩川が流れてて、そこそこ離れてない間隔で橋が架かってる。 川の幅は結構広い方で、河川敷には神奈川側にサッカーコートとかあって、土手も広々してる。 東急田園都市線って結構メジャー路線は、多摩川を垂直に横切って神奈川と東京を結んでる感じ... 続きを読む
【ショートショート怪異譚(物・道具)】都内古書店で買った本、死体人形、冷蔵庫
都内古書店で買った本 俺の叔父さんの話。 叔父さんは古書集めが趣味で、暇さえあると古本屋巡りに出かけていた。 とある古本屋で叔父さんは、アメリカ人がインディアンと戦ったときの記録を、当時のアメリカ人が日記風に記した古書を見つけた。 オリジナルではなく複製だったけど、その当時の年代に複製されたのは間違いないらしくて叔父さんは大枚はたいてそれを買った。 叔父さんは、その本を自分の部屋の書斎に大事にしまっておいた。 その日依頼、なんとも寝付けない日が続いたと言う。 仕事から帰ってきて自分の部屋に入ると、すでに空... 続きを読む
雛人形
さて、今年のお雛祭りも無事終わったし、数年前に起こった祟り騒ぎでも投下してみる。 事の始まりは雛祭りも近いある夜の事。 突然、近所に住む若い母親Aが訪ねてきた。 彼女は開口一番 「お雛様貸してください」 何でも、義母にお雛様(と娘)の写メを送れと言われたらしい。 冗談じゃない。 でも相手は玄関の中にいる。 “私”の雛人形を“他人”になんて貸し出せない。 他をあたってくれとかなり冷たくあしらった。 するとAは、たまたま玄関に飾ってあった古い雛を見て 「じゃあ、コレをちょうだい!」 さらに冗談じゃない。 その... 続きを読む
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