押入れの姉

小学生のころ、不思議な体験をしました。 自宅で昼寝をしていると姉に起こされ「押入れの中に誰かいるから見てきてほしい」と言うのです。 両親が不在だったので唯一の男である僕に助けを求めたのでしょうが、正直怖かったです。 ですが年の離れた姉に頼られて幼い自尊心を刺激されたのでしょう、僕は後ろに姉をかばうようにして居間に向かいました。 押入れのふすまはピッタリと閉まっていて、なにもおかしな様子はありません。 「中にいるよ」 後ろから抑揚のない声が聞こえます。 ……それが本当に姉の声だったのかどうか、今では思い出せ... 続きを読む

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黒いくらげ

あんまりこわくないかもだけど……。 この間の盆に帰省したんだが、うちの実家はいわゆる本家筋なんで分家と言うか父親の兄弟が挨拶にやってくる。 本家筋って言っても特に金持ちじゃないし母親曰く『親戚をもてなす分うちが割り食ってる』とか言うそんなレベル。 でも中途半端に田舎の農家(父の代で離農)だから家の敷地は広いし、母屋のほかに養蚕用の離れや蔵はある。 子供の頃なんかは養蚕用の離れ(一回が農機具置き場で二回が養蚕部屋)で秘密基地ごっこなんかして従兄弟達と遊んでたんだけど、そこで遊ぶ時だけ祖母ちゃんの作った法律が... 続きを読む

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隣のオジサンと犬

あのさー昔(消防の頃)、家の横の家の熟年夫婦がさあ、よく喧嘩してたんだよ。 夜中に「殺すぞ!」とか怒鳴り声が聞こえてきてさ、食器が割れる音やらね。 とにかく凄く激しい夫婦喧嘩だった。 近所迷惑だったしさ、でも野次馬な自分は、部屋の電気を暗くして、横の家の覗きが趣味になっていた。 その日も、夜中激しい喧嘩がはじまったから、電気を消してそ~っと覗いてたんだよ。 横の家さあ、カーテンをいつも開けてるから、俺の部屋からはおもしろいぐらい丸見えなんだよね。 オバサンがフライパンでオヤジを殴ったり、ヒステリーに食器を... 続きを読む

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団地の婆さん

伊集院光が昔アルバイトしてたスーパーがある団地での話。 今から十数年前のことになるが、当時小学校低学年だった俺は友達数人と団地内で遊んでいた。 缶蹴りだったかドロケイだったかなんだか詳細は忘れたが、まあそんなことして遊んでいたんだよ。 そうして遊んでいたら、俺たちの方に向かって一人の婆さんがとぼとぼ歩いて近づいてきた。 そして唐突に俺らに話しかけてくる。 「あなた達、楽しそうねぇ。おうちは近いのかしら?私お散歩してたらおうちがわからなくなっちゃったの。あなた達、私のおうちどこだか知らないかしら?」 完全に... 続きを読む

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ボロ布の人との遭遇

高校時代の友人が体験した話。 仮に佐藤とする。 佐藤は隣県から僕の地元の高校に通学していた。 仲は良かったが、あまり自分のことを話さない性格だったのでよくわからない奴だった。 2年の夏休みに佐藤は、地元の友人たちとバーベキューをやったらしい。 佐藤の地元はド田舎で、田んぼと川くらいしかなく、民家も所々に固まってあるくらいだ。 6人ほど集まって原チャリで食材などを「機場」という場所に運ぶ。 「機場」とは川の水を汲み上げて田んぼに供給するための一辺10メートルほどのコンクリート製の施設だ。 そこは民家から相当... 続きを読む

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