押入れの姉

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小学生のころ、不思議な体験をしました。

自宅で昼寝をしていると姉に起こされ「押入れの中に誰かいるから見てきてほしい」と言うのです。
両親が不在だったので唯一の男である僕に助けを求めたのでしょうが、正直怖かったです。
ですが年の離れた姉に頼られて幼い自尊心を刺激されたのでしょう、僕は後ろに姉をかばうようにして居間に向かいました。

押入れのふすまはピッタリと閉まっていて、なにもおかしな様子はありません。
「中にいるよ」
後ろから抑揚のない声が聞こえます。
……それが本当に姉の声だったのかどうか、今では思い出せません。
幼稚だった僕は警察や大人を呼ぶという選択すら浮かばず、震える手でおそるおそるふすまを開けていきました。
スゥー……
押入れの片側を全開にすると、女性が倒れているのが見えました。
胎児のように体を丸めて、安らかな寝息をたてているその女性は、しかし紛れもなく姉でした。
僕は弾かれたように後ろを向きます。
すでに誰もいません。
押入れの中に目を戻すと、やはり姉が眠っています。
僕はわけもわからずその場にへたり込んでしまいました。
たった二人の姉弟なので顔を見間違えるはずもないのです。

とにかく姉を起こしていまの出来事を話さねばと伸ばした手が、途中でぴたりと止まりました。
……恥ずかしい話、当時の僕は姉に対して複雑な感情を抱いていたのです。
どちらかというと厳格な父母に比べ、優しくて気さくな性格。
すでに中学3年だったものの、おそらく同年代の女子と比べても大人びた体躯。
外出先や両親の前では行儀よく振舞っていた姉が、自分と二人きりになった途端に薄着になって抱きついたりしてくるので、そのたびに動揺しきりでした。
そんな姉が、目の前で純白のブラウスと……下はショーツだけという平素にも増して無防備な格好で横たわっているのです。
しかも普段はポニーテールに結ってある黒髪がほどかれ、どこか艶やかな印象さえ感じました。
伸ばした手が、本能のままにあらぬ部位を触れてしまう前に、邪念から逃れるように、僕はふすまを閉めました。

姉は無事なのだから、そのまま寝かせておいてあげればよい。
無理やり自分を納得させてソファに腰を下ろすと、強烈な睡魔に襲われました。
起きていてもなにかできるわけではないのですが、押入れの姉を守らなくちゃいけない、というような使命感に駆られ、重いまぶたを必死で持ち上げ、何度も首をこっくりさせながら眠気に抗っていました。
そんな攻防がどれほど続いたのか、定かではありません。
ガクン!
突然の衝撃でハッと目を覚ましました。
どうやら体が倒れ掛かっていたようで、あわてて身を起こし、周囲の状況に呆然とします。
真っ赤なのです。
床といわず天上といわず、あらゆる家具や調度品にいたるまで、なにもかも真紅に染まっていました。
夕焼け……きっとそうだったのだと思います。
それはただの西日であったのだと、今でも自分に強く言い聞かせています。
どこか異次元めいた黄昏の光景の中で、押入れのふすまがゴソッと音を立てて揺れました。
僕は誰かに呼ばれた気がして、夢遊病者の態で押入れに向かい、何の迷いもなくふすまを開けます。

先ほどと寸分たがわぬ姿勢で姉が寝ていました。
ですが透き通るように白かった肌が、禍々しい妖光に照らされて赤く輝き、まるで、
まるで……。
以前にも……どこかで……こんなモノを見たような、気がしました。
言いようのない既視感にとらわれつつ、僕の体はするりと押入れに侵入し、姉のやわらかな腰に馬乗りになり、小さな体で覆うように抱きすくめました。
なめらかな肌の感触に原初の欲望を掻き立てられ、夢中で体をまさぐり、姉の端正な顔に自分の頬を摺り寄せました。
永遠にこうしていたい。
物言わぬ姉の体温を感じながら涙さえ溢れてきました。
一刻も早く姉と二人きりになりたいと思い、内側からふすまを閉めようとします。
狂気じみた赤光がだんだんと細くなり、完全に閉じようとしたそのとき、耳元で姉がささやきました。
『にげなさ……』
バンッ!
聞き覚えのない声が言葉を結ぶ前に、僕の体がものすごい力で押入れから引き戻されたのです。

急転する視界が定まると、眼前には学校の制服を着た姉がいました。
「なにを見たの」
蛍光灯の無機質な明かりのついた室内で、両肩をがっしりと掴まれていました。
真正面から見据えるその表情はとても険しく、いつもの朗らかな姉からはまるで想像できないものでした。
「なにを、されたの」
尋常ではない気迫に声も出せず、痴呆患者のように、無人となった押入れと姉の顔のあいだで視線を泳がせるしかありませんでした。
「驚かせてごめんね……でも大事なことだから」
やがて僕が震えていることに気づいたのでしょう、姉はいくぶん穏やかな声で問いかけてきました。
僕はたどたどしく、事の顛末を話し始めました。
支離滅裂な内容にも関わらず、深刻な表情を崩さぬまま聞き入っていた姉が、途中でふと顔を赤らめるところがありました。
「押入れの中にいたのは、わたし、だったの……?」
鋭かった眼光が急にやわらぎ、すこし小首をかしげるような仕草をしました。
なぜ押入れに「誰か」がいたことには触れず、そこにいたのが「自分」だったことに驚き、しかも頬を紅潮させたのか、僕には知る由もありませんでした。
「どんな……格好をしていたの?」
そう聞かれて、今度は僕がうつむく番でした。
シワひとつない紺のブレザーを着込んだいまの姉と、脳裏に強く刻まれたあられもない姿の姉が、どうしても重なってしまったのです。
「だ、大事なことだから……ね?」
ひざを突いたまま、上目遣いでこちらをのぞきこむ姉の耳朶が、まだ赤らんでいるのが見えました。
もともと姉にウソをつくという習慣がなかった僕は、正直に話すしかありません。
「そう……着物では、なかったの」
独り言のようにつぶやく姉はなぜかホッとした様子でした。

その後も、ソファで眠りそうになって、気づいたら夕暮れになっていたこと。
姉と一緒に居たい衝動に駆られ、押入れに入ったことを、恥ずかしい気持ちを抑えて語りました。
「本当に、それだけ?」
姉の尋問はさらに続きました。
「なにか、唄のようなものは聴かなかった?」
唄に覚えはなかったので、首を小さく横に振りました。
でも最後、自分になにか言葉をかけてきたのは覚えています。
「……なんて、言ってた?」
たしかあのとき姉は……いえ、姉に見えていた正体不明のなにかは、
『逃げなさい』
そう、言おうとしていました。
「にげ……ろ?」
その言葉があまりに意表をついていたのか、姉は目を丸く見開き、引き締めていた口元をわずかに開けて呆然としていました。
ですが表情を弛緩させたのもつかのま、次の瞬間には眉間にしわを寄せて、奥歯をギュッとかみ締め、なおさら剣呑な雰囲気に戻ったようです。
僕の肩を掴む手に万力のような力を込め、視線は床に落としたまま、「いつまでもいつまでも…」とか「あの女…」などと、なにやら呪詛めいた言葉をぶつぶつと吐き続けていました。
両肩のあまりの痛みにうめくと、姉はハッとして僕から手を離し、肩をさすりながら「ごめんね、ごめんね」と何度も謝っていました。

いつもの優しい姉を見れて内心安堵する僕に、姉はポツリと
「あのね……服を、脱いでくれないかな?」
突然の要請に、ただでさえ心ここにあらずだった僕は、完全に硬直しました。
わけがわからない。
どうして、と訊いても「必要なことだから」と強く返されるだけでした。
おそらく反抗しても無理やり脱がされるであろうことを予期し、僕は渋々と寝巻きを脱いでいきました。
まだ姉と一緒に入浴する習慣を残していた僕でも、異性がまじまじと見つめる中で脱衣するのは羞恥といえました。
やがて白いブリーフだけの姿になって「これだけは絶対脱がない」という意思表示をすると、姉は多少バツが悪そうにしたあと、僕に顔を近づけてきました。
どぎまぎする僕など意に介さず、姉は指先から手、二の腕へと、弟の体をつぶさに観察してきました。
穴が開くほど近くで、ときにはスンスンと鼻さえ鳴らしながら、なにかを懸命に探しているようでした。
それは骨董品を目利きする鑑定士というより、獲物をさがす猛禽のように思えました。

僕はあまりの恥ずかしさに涙を浮かべて耐えていました。
胸元や首筋を調べられるとき、きめ細かい肌や薄桃色の唇が迫るたび、押入れの中での一件が思い起こされ、理解不能な感情に陥りました。
だから、姉が腑に落ちないという顔で僕から離れたときも、開放されたという思いだったのか、それとも倒錯の時間が終わってしまったことを悔やんでいたのか、よく覚えていません。
「おかしいわ……見当たらない」
姉は思案顔のまま押入れの前まで行き、僕に背を向けた状態で
「カゲシロもなく出てこれるはずが……」
と、また独り言を繰っていました。
まだ物事が落着していないことを肌で感じた僕は、服も着れないでじっと姉の反応を待ちます。
ややあって、姉がはじかれたように顔を上げると、早足で僕のほうに歩み寄ってきました。
そのとき僕は愚かにも……なぜか下半身にまとった最後の砦を奪われるような気がして、情けない悲鳴を上げてしゃがみこみました。
「動かないで、じっとして」
股間をかばうようにしてうずくまる僕の頭に、そっと姉の手が載せられました。
どうやら、今度は僕の頭髪を調べているようです。
……僕は赤面しているのを知られまいと必死でした。
頭を撫でるようにまさぐっていた姉が、
「あった……! ちょっと抜くから、我慢して」
プツン
さして痛くもありません。
どうやら毛を一本、引き抜かれたようでした。
しかし姉の持つそれを見て、僕はギョッと目を見張りました。
長いのです。
ゆうに僕の頭からひざ下に届きそうな一本の黒髪。
もちろん、そんな毛が生えていたことなどまるで知りません。
これだけ長ければ洗髪のとき自分で気づくか、あるいは家族や身の回りの人間がすぐに指摘するはずなのですが。
「……小ざかしい」
そうつぶやく姉の目は、まさに鼠を掌中にした猫のそれでした。
やおら眼前でその髪を伸ばすと、赤い舌でツゥー……と舐めてから、はじめて笑みを浮かべていました。
美しい、けれど残酷さを漂わすその微笑を見て、姉の中でなにかが解決したのだということを、僕は感じ取っていました。

「服を着たら、ちょっとお姉ちゃんの電話に付き合ってくれないかな?」
そう言う姉はすでに、いつものしとやかで愛らしい女の子に戻っていました。
すっかり安心しきった僕は、パジャマのボタンをとめながら「うん」とうなずきました。
電話の手伝いというのもおかしな言いまわしですが、姉の『お願い』にはすべてイエスで応えるのが僕の習性になっていたのです。
「ありがと。ちょっと苦手な人に電話するから、お姉ちゃんの手を握っていてほしいの」
そんなことならお安い御用です。
僕は受話器を取って番号をプッシュする姉の傍らに立ち、その手を握りました。
姉の手はひんやりとしてやわらかく、思わず力がこもってしまいます。
「……大丈夫、もう怖くないよ」
見上げると、姉はにっこりと笑っていました。
うれしくなって僕も笑みを返します。
やがて受話器の向こうから女性の澄んだ声が聞こえ、
「○○の者です。ええ、アレにつないでください」
このとき姉が自分をどう紹介したのか、どうしても思い出せません。
家族の苗字や地名ではなく、もっと別の、記号じみたことを言っていたように聞こえました。
『ぁ……やっ……れた』
しばらくして、さきほどの女性とは違う、しわがれて耳障りな声がわずかに聞こえてきました。
「どうもお久しぶりです。もっとも、アナタにとってはそうでもないかもしれませんが」
『な……で、……こん………も』
「なにをおっしゃっているのかよくわかりません。ああそうですか、気道がふさがれて苦しいのですね。まあ、自業自得でしょうけど」
『いっ…………まま、こ………せ』
部屋がほとんど無音の状態だからといって、受話器から漏れ聞こえる声など微かなものでしかありません。
しかしそれでも二人の会話がどこか平穏ではないものだということは察知できました。
証拠に、姉の顔には先ほどと同様、小動物をいたぶるときの子供のような、冷酷な喜色が浮かんでいました。
それにしても相手の声は男女の判別すらできないほど荒れていて、まるで声というよりは
ノイズといったほうが適切でした。
僕は思わず(病気の人なの?)と、姉にしか聞こえないような声でささやいてみました。
その瞬間、
『そ………に……あ……る……!?』
淡々とした声の調子が、強いものに変わりました。
悪気はありませんでしたが、失礼なことを言ってしまったのかもしれないと思い、反射的に姉の手を強く握ってしまいました。
「聞こえていますから、そんなに興奮しないでください。そちらの周りの方にも迷惑じゃありませんか。弟も怖がっていますし。ねえ?」
姉から同意を求められ、僕はこくこくと首を縦に振った。
『………な…?……ど…お………の!…………い!……』
「ええ、弟ならずっとわたしと一緒です。いまだって手を握ってるんですよ。もう本当にかわいくて仕方ありません」
『…やく…………じゃ…!……も……あの………と……!…………………の!?……』
受話器の向こうから、なにやら詰問めいた口調が姉に浴びせかけられました。
それが心地よいのか、姉はどんどん相好を崩していきます。
唇の端を吊り上げ、目を細め、愉悦を隠そうともせずに笑っていました。
美しいことに変わりはないものの、まるで別人であるかのように、僕の目には映りました。
『…ッ………なん………で…………ら………うッ……』
上機嫌の姉とは裏腹に、電話の相手からは泣きぶせむような声さえ聞こえてきました。
なにかを必死に哀願しているようです。
そしてとうとう、僕の耳にも一節が届きました。
『お…がい。せめ…こえだ…でもきか…て』
僕が言葉の意味を解する前に、
「黙れこの淫売」
姉が低い声でうなった。
「貴様のような犬猫にも劣る雌畜生が、売女の分際で生意気に人の言葉をしゃべるな」
『………』
「余計なことは考えずその掃き溜めで巣作りに専念していろ、この」
姉は何拍か息をためるようにして、
「化物が」
いかにも忌々しげに吐きすてた。
『…………え?』
『……ヒッ!?……』
『あ…あ…アアアアアアァ!!! ウァァァァァァァァ!!!』
その言葉がスイッチであったかのように、今度こそ受話器を通して泣き叫ぶ声がはっきりと聞こえました。
いえ、それは叫びと呼べるものだったのかどうかさえわかりません。
人の慟哭にしてはあまりにおぞましかったのです。
「アッハハハハハハ! 化物め! バケモノバケモノバケモノバケモノバケモノバケモノ!」
姉が「ばけもの」と罵るたびに、相手はなおさら狂おしく身悶えているようでした。
声帯が千切れんばかりの絶叫に混じって、複数の人間の怒号や悲鳴、そしてけたたましい鈴の音が響いてきました。
僕は度重なる異常な事態に、とうとう気が遠くなったようです。
こわばっていた体から力が抜け、ずるりと視界が傾き、僕は意識を失いました。

目を覚ますと、そこはしんと静まり返ったリビングでした。
数回のまばたきを経て、飛びのくようにしてソファから立ち上がり周囲を見回します。

すでに窓の向こうは漆黒の闇で、蛍光灯の白々とした明かりが部屋を照らしていました。
家族の気配もありません。
夢、だったのか。
そうであってほしい、という願いを、生々しい記憶の奔流が否定してきます。
慣れ親しんだ家なのにまるで別世界いるような不安感に耐えきれず、姉の名を叫ぼうとした僕の目が、一点で静止しました。
押入れが、揺れた気がしたのです。
呼吸さえ止まりました。
あれが夢であるならば、こんなところに姉が寝ているわけはないのです。
僕はおそるおそる押入れの前に立ち、ふすまに手をかけました。
怖がるな、誰もいるはずがない、と頭で繰り返します。
バンッ!
と、ふすまを勢いよく開けて、腰を抜かしました。
体を丸めた半身の状態で寝ているのは、見まごうことなき、僕の姉でした。
口をぱくぱくさせながら呆然としていると、姉が「ううん……」と身をよじらせたので、僕はビクリとなりました。
姉がゆっくりと上体だけ起こし、ブラウスの袖で目元をこすりながら「よく寝たあ」と言って、出ようとするあくびをかみ殺していました。
事態を飲み込めない僕は思わず、どうしてこんなところで寝ているのかと姉に詰め寄りました。
「う~ん……ひんやりして気持ちよさそうだったから?」
呆れる僕の前で、
「それに未来のお姉ちゃん型ロボットみたいで可愛いでしょ?」
と猫のようなポーズを取って見せた。
体中の力が抜けてしまうと同時に、えもいわれぬ安堵感に襲われました。
「ちょっと顔洗いに行ってくるね。そしたらご飯にしようか」
何事もなかったかのようにバスルームに向かう姉を見送って、僕は電話機を調べました。
当時から留守番が多かった僕は、リダイヤル履歴の表示方法を知っていたのです。
もっとも新しい履歴は、おとといの父の携帯への発信でした。
やはり夢だったのだ。
どこから夢だったのかはさておき、とにかくあの異常な出来事はすべて虚構だったのです。
考えてみれば当たり前のことで、そのほうがずっと自然でした。
僕は大きくため息をつき、ソファにぽすんと身を横たえました。

「待っててね。すぐお夕飯つくるから」
台所ではノースリーブのシャツとデニム製のショートパンツに着替えた姉が、夕食の準備に取り掛かっていました。
父母の帰りが遅いときは、いつも出前か姉の手料理だったので、僕にとっては日常の光景でした。
包丁のリズミカルな音に混じって、ときおり機嫌の良さそうな鼻歌がきこえてきます。
今晩のおかずを夢想しながら姉の後姿をなんとなく眺めていたとき、僕はふと感じた疑問を口にしてしまいました。
『お姉ちゃん、いつから髪を結っていたの?』
その瞬間、すべての音がやみました。
姉は包丁を持ったまま手を止め、振りかえろうともしません。
小気味よく左右に揺れていたポニーテールも動きを止めました。
しかし、僕が一度見た押入れの中の姉は、髪など結っていませんでした。
理性ではなく本能で、問うべきではなかったと悔やみました。
数秒前に戻ってなにも言わずにテーブルの上を拭いて食器を並べ、姉に褒めてもらっていればよかったと、心底後悔しました。
身動きできない僕に、姉は独り言のように、
「……やっぱり、男の子は髪をおろしたほうが好きなのかな……?」
その声には、なぜかわずかな哀調がこもっているようでした。
僕はかすれた声で、しかしはっきりと、
『お姉ちゃんなら、どんな髪型もきっと似合うよ』
本心を告げました。

姉は顔の半分だけをこちらに向けて、
「ありがと」
と笑ってくれました。
すると二人っきりの家の中に、再び音が戻ってきました。
僕はすかさず立ち上がり、皿やコップを食卓に並べはじめました。
「あわてて転ばないでね」
優しい声に「うん」と応え、僕も夕食の準備を手伝いました。
あとは仲良くいただきますをして、取り留めのない雑談を楽しみました。
僕が夢の話をすることは、もうありませんでした。

その日起こったことは、これですべてです。
数年たった今でも姉とは仲良くやっていて、ほかにもいろいろとあったのですが、なかでもこの出来事が気になっているのは確かです。
夢と現実の境なく、あらゆる記憶を述懐しただけなのでとてもわかりづらい文章になりました、申し訳ありません。

900 「押入れの姉」 2010/09/09(木) 16:02:06 ID:KzzABe100

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コメント

  1. 匿名 より:

    最初の3分の1ぐらい読んでスクロールした。すげー損した。久々に見たくだらねー作り話。。

  2. 匿名 より:

    最初の3分の1ぐらい読んだだけで、すげー損した気分。
    久々に見たくだらねー作り話。

  3. 1 より:

    オカルトとファンタジーの中間なタイプの漫画や小説に、造形の深い方の作品でしょう。メディウムに夢枕 莫に押井 守。私は80年代の匂いがプンプンする良作だと、思います。

  4. 匿名 より:

    俺は1 支持。
    手慣れてる印象は受けるけど、内容が伴ってないというか自己陶酔バリバリで、読んでて怖いと言うより不快。ここでイカ臭い厨ドリーム見せられてもなぁ・・・

  5. 匿名 より:

    クセはあるかな。でも情景はうかぶしそこそこ面白くね?全然怖くはないけど

  6. 匿名 より:

    描写はうまいけど、靴の上から足を掻く感じ。

  7. 匿名 より:

    B級ドラマにありそう
    なんか創作物ぽい

  8. 匿名 より:

    面白いとは思うけど、なんだろう…途中途中の姉の罵倒とか、中学二年生が覚えたてのアニメのセリフを喋っているようなむずかゆさ

  9. 隣のトロロ より:

    ねえ、ちゃんとしようよ!

  10. 匿名 より:

    うーん、1に同じ。中学生の女子がだまれ淫売なんて言うかなぁ…

  11. 霊感ゼロのオカルトマニア より:

    実話なのか創作なのかが知りたい
    実話だったら凄い

  12. 匿名 より:

    ところどころ言い回しがあれだけど、なかなか面白い。
    あと気になったのが、鈴の音。なんで鈴の音なんか聞こえたのだろうか…あと巣を作る…?

  13. 匿名 より:

    伏線丸投げのひぐらしファンタジーに影響された感

  14. 凡人 より:

    誰も本当にあった事だと微塵も考えていない辺り、若干の杞憂と危機感を覚えた。

    此処はそういう場所でそういうネタなのだと言われてしまえば多少首を縦に振る気にはなるけれど。

    自分は子供の頃から『見える人』なので、こうも否定的だと寧ろ

    何だか、幽霊や心霊現象より、コメ欄のやたら否定したがる人間の方が不気味だなぁとふと考えました。

    ある程度疑うのは大事だけれど·····此処まで盲目だと、いざ『何か』起こっても真っ先に消えてしまうんだろうな。

    厨二病なり余計なお世話なり言われそうだけど、もし実話だった場合、好き勝手言われてる著者の事を考えると、凄くイラッとしたから。

  15. 匿名 より:

    もしかすると。

    『襖を開けろ』と姉の様な何かに命令され、姉を確認し、無理矢理引き剥がされた時。
    或いは、姉の身体を貪る前、真っ赤な夕焼けに包まれた時、

    姉と姉の様な何かが、入れ替わったのでは?それこそ巧妙に、まるで紙に染み渡るインクの様に、現実に侵食しながら。

    電話の相手は入れ替わる前の『姉』で、『なんでこんなことも』『いっそこのままころせ』『こえだけでもきかせて』と言ったのは、本当は·····?

    そう考えると、なんだか怖いですね。

  16. 10月17日にコメントした名無し より:

    コメント欄の凡人さんへ
    自分は霊感が全く無く、そういう体験もありませんが、個人的には信じてます。というか信じてしまうと言った方がいいかもしてません…
    だからこの人の話も信じてますよ。特に、鈴の音・巣というキーワードになんとなく聞き覚えがありましたから。少しコメントの書き方が創作物に対する言い方になってしまいましたね…

    確かに世の中や、このサイトの一部のコメントさんは怪異について否定的ですが、自分のようなヒトがいると言うことも分かってもらえると嬉しいし、怒りを少しでも沈めてもらえれば幸いですです。まあ盲信してるわけではないのでそこも大丈夫ですw

    長文失礼しました

    追伸、今度なんらかの形で凡人さんの霊体験が聞きたいです。無理にとは言いませんので、検討お願いします。

  17. まこ より:

    こんな弟キモくて勘弁。

  18. 匿名 より:

    何このオ〇二ー小説。

  19. 匿名 より:

    かなり前半で読むの断念したけど、コメ欄読んだら(長文以外)止めて正解だったと確信したw

  20. はま寿司 より:

    黙れ小僧寿司!

  21. 匿名 より:

    俺は好きかな もう少しいやかなり踏み込んだら違うサイトになっちゃうけど^_^

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