神の嫁祭り

小学校5年生の時の話、父の実家は地方の山の中の集落にあった。 あまり親とうまくいってなかった父は大学進学と共に殆ど帰らなくなったそうだ。けれど結婚して私が生まれて少しだけ交流が復活した。といっても2年に一度くらい1泊で帰るくらいで、私自身祖父母の印象は薄い。 小学5年生の時に生まれた弟の顔見せの為に久しぶりに父の郷里へいった。祖父母の自宅に泊まるのだが、父は親戚宅の用事が長引いて帰れなくなったため母と自分、0歳児の弟だけが泊まることになった。その昼から集落は賑やかで祭りがあるとの事だった。私... 続きを読む

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ハカソヤ

ほんの数年前に知った私の母の故郷(四国のド田舎)の習慣の話です。 うちの集落にはハカソヤという女限定の変な習慣があります。ハカソヤにも色々あって、大きく分けてお祝いの言葉に使う場合とお守りのことを指す場合があります。お祝いの言葉のほうは、例えば初潮が来た女の子や恋人が出来た 未婚の女性に「おめでとう」の代わりに言ったりします。 お守りのハカソヤは母親から一人前になった娘に手渡す安産のお守りのことを言います。例えば娘が就職して実家を出て遠方に行くときなんかは必ずもたせます。この場合何をもって一... 続きを読む

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猫の匂い

私の住んでるところは、田舎です。バスも一日に三本しかありません。そんな村で私は介護の仕事をしています。 週2で訪問介護の仕事で山奥にあるお宅に伺うのですが、そのお宅が少しおかしいのです。集落からさらに離れた場所にあるお宅なのですが、いつ伺っても嫌な生臭さと異常ともいえる数の猫……それだけならまだよいのですがその猫のほとんどが身体の一部がないのです。 そのお宅のおばあさんは足が不自由ですがしっかりした方で「餌もやってないのに寄って困っとる」とおっしゃるのです。臭いについて聞いてみたいのですが、... 続きを読む

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謎の集落

四国の大学で地質学の卒論を書いた。 フィールドワークで一人山に入るんだが、基本的に道路から外れた本当山中を歩く。基本的に山道を煤で川の上流まで上がってから、川べりを下りながら露頭という地層が露出した個所を探しながら、車が止めてあるスタート地点に戻る。露頭を見つけたら、フィード帳に書き込み、地図と合わせて地質図をつくる作業をするんだ。 その日も一人で調査の為、山に入った。一応コンパスと歩数でルートマップを作りつつ時々GPSで補正をする感じ。たまに国土地理院の地図が間違っていて、えらい目にあった... 続きを読む

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デジャブ

私には幼い頃からどうしても忘れられないある風景があります。 戦時中のような裸電球がともる部屋の中で、私は何か茶色の扉のような物を見つめている、外には誰かが居るらしく、開けようと近づくと一人の男が現れる、彼のきている縞模様の服の色だけが鮮明に眼に焼き付いています。その人は私の代わりにドアを開ける、記憶はここで途切れていて、どうしても続きが思い出せません。子供の頃のことなのか、どこかで経験したことなのか、両親に聞いても知らないと言うし、第一私達家族が今住んでいる東京の家にはそんな古風な部屋などありませ... 続きを読む

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