私の住んでいた街の神社の夏祭りは結構大きく、いろんな屋台の他にお化け屋敷・バイク曲芸なども来ていた。 なかでも『大人のお化け屋敷』と題された催し物は、私たちの間で「子供は見ちゃいけないくらいグロテスクらしい」と噂になっていた。 お化け屋敷の小屋の外には、かなりいかがわしい絵の看板が打ちつけられていた。 なぜか全裸の下半身が蛸の女とか、化け物に襲われている女の絵もやはり着衣がかなり乱れていていろいろ丸見えだった絵だった気がする。 そして毎年、ノートルダムのせむし男みたいな小男が不気味な客寄せの口上を述べてい... 続きを読む
人怖
K県の廃病院
俺の友達が体験した、ちょっと怖い話を書きます。 俺のじいちゃん、寺関係の仕事してて霊感あるんよ。 俺がガキの頃よくじいちゃんが「とりつかれた時の対処法とか」「立ち寄ってはいけない場所の判断の仕方」とか色々教わって育ったお陰で、じいちゃんレベルとまではいかないけど、それなりに霊感が培われて育った。 親父はそういうのはぜんぜん分からんっていうんだけどな。 で、あれはたぶん5・6年前、すまん記憶が曖昧で覚えてないんだが、とにかく俺の悪友(結構イケメンでスケベ。だが、面倒見がよく、男女わけ隔てなく好かれるタイプ)... 続きを読む
行方知れず
高校生の頃、いつも喧嘩してた妹がいた。 喧嘩といって他愛もない口げんかで、ある程度言い合ったらどちらかが自然と引く。 ニュースであるような殺傷事件には到底至らないような、軽い喧嘩だった。 高校三年の春だった。 成績が凄く落ちてて、志望校に合格するのが危うかった。 そのせいで親の風当たりがきつく、テストが悪い時なんか、一人だけご飯のおかずがニボシだけ、なんてこともあった。 追い込まれていたからか、妹のいつもの態度がやけにイライラしてくる。 何を言われたかは覚えてないが、カッとなって妹にテレビのリモコンを投げ... 続きを読む
奈落の底
小学生だった時の話。体育館の舞台の下手と上手とつなぐ地下通路があって、そのちょうど真ん中あたりに小部屋があった。私は合唱クラブだったんだけど、その小部屋をみんなで勝手に『楽屋』と呼んでこっそり持ち込んだ私物を隠したりする場所として活用していた。 夏休みの間に体育館を改築するという話があって、その夏休み前の終業式の日、私は『楽屋』にヌイグルミを忘れていることに帰宅してから気付いた。そのまま無視しようとも思ったが、瓦礫に潰されるヌイグルミを思うと不憫になって渋々学校に向かった。 用務員室に行くと... 続きを読む
鋏婆
僕が自分で体験した話だ。 今月末で辞めてしまうが、僕は山間部の朝刊配達をしている。 配達は深夜から朝まで。そんな時間帯にちょっと恐い体験をしたので書いておく。 あれは始めて最初の冬だった。 少し配達にも慣れてきた頃、拡張員が新刊をとってきた。 新刊が入ると、配達する人間は深夜地図を見ながら家、そしてポストを探す。(ポストが無い家や見つかり難い家もある) 新刊の家は面倒くさい所にあった。 普通の車道で行くと、森の中にある道を遠回りしながら入って行かないといけない。 道も細くて、バイクでも... 続きを読む
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