私が小学校2年のことです。 クラスにSちゃんというタロット占いが得意な子がいました。 タロットなんてシャレたものが物珍しかったことと、良く当たるだとかで、たちまちSちゃんはクラスの人気者になり、その人気は他のクラスや他の学年にも飛び火していました。 クラス中が彼女からアドバイスを貰いたがって、なんだか卑弥呼とその信者みたいな感じになり、それに気を良くしたのか、Sちゃんはそのうち 「私、霊が見える」 と自称し始めました。 元々気が強めの子だったのですが、エスカレートして仕舞には、 「それ、良くないものがつい... 続きを読む
コンビニでカニ
もう5年前になるけれど、珍妙な体験をした。 その頃俺は田舎のコンビニエンスストアで夜勤の仕事をしていた。 やはり田舎なので、その時間帯お客はほとんど来ない。 やるべき仕事を終えたら、バックヤードでのんびり過ごすのがいつもの流れだった。 その時も俺は一仕事終えてビッグコミックを読んでいた。 ただでさえ来ない客は、真冬ということもあってほとんど来ない。 それでも習慣というのか、無意識に監視カメラの映像は気になっていたのか。 違和感を感じて画面を見た。 9分割の画面に目を移した俺は、しばらくしておかしなものに気... 続きを読む
ローカル単線の人影
それは私が地方のローカル私鉄で運転士をしていた頃の話です。 季節は晩秋の……空には星も月も無く、風も無い暗い晩のことでした。 時刻は終電間際、この乗務が終われば本日の勤務も無事終了。 ひとつひとつ小駅を拾うように、列車は山間の単線を走っています。 とある無人駅を過ぎ次の駅も無人駅、ここで車掌が運転台に来ます。 次の駅は改札口が前寄りにあるので、集札に備えての何時もの慣習。 後輩の車掌と、遮光幕の下りた暗い乗務員室で軽い雑談を交わします。 山合いを抜け田園地帯、前照灯が直線のレールを照らしていました。 進行... 続きを読む
天咲24年
これから話す内容は、ムラさん(仮名)から聞いた話。 その日、僕はムラさんの部屋で男二人飲んでいた。 ムラさんの仕事はフリーの社会派ライター。 当時、部落や公園を回っては、浮浪者からなぜ今の生活に落ち着いたのかなど過去を聞いて回り、いずれ本にまとめて発表する予定だった。 「でもそんな簡単に浮浪者が話してくれるんスか?」 と僕が聞くと 「ウラワザがあるんだよ」 とニッと笑って、部屋にある一升瓶にアゴをやった。 手土産として酒と簡単なツマミでも持っていくと、連中の口も軽くなるという寸法らしい。 そうしてムラさん... 続きを読む
行ってはいけない祭
言葉にするとたいしたことないが、体験するとじわじわとくる話をひとつ。 うちのまわりはすごい静かな住宅街で、最近引っ越してきたんだよね。 うちは線路沿いに建ってるから、電車が通る音とかも聞こえるくらい静か。 昼間は道路で遊ぶ近所の子の声とか丸聞こえだけどね。 んで、俺両親と姉貴と弟と一緒に住んでるんだけど、家族で姉貴の買い物に付き合ったとき弟と俺はパスした。 姉貴買い物長い。 弟も小さかったし。 まぁ、それはおいといて、弟がいきなり 「ねえ、なんかお祭りやってるの?」 とか言い出した。 はぁ? とか思いなが... 続きを読む
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