田舎住まいなので、通学するときにはいつも田んぼの脇道を通っていた。 その日も家に帰る為、いつものように田んぼの脇道を、カエルの鳴声を聞きながら歩いていた。 すると田んぼの中に、ピンク色の割烹着のような服を着た人が立っているのに気が付く。 「ああ、田植えか何かしているんだな」 そう思って良く見てみると、何か動きがおかしい。 片足で腰をクネクネさせながら、白いビニールの紐のようなものを、新体操をしているかのように、体の回りでグルグルさせている。 何と言うか、フラフープをしているような、そんな動き。 変な汗が、... 続きを読む
祖母の習慣
俺の祖母には、毎日朝早く一人で散歩に行く習慣があった。 その時には必ず双眼鏡を持っていく。 その理由を尋ねた時にこんな話をしてくれた。 祖母がまだ幼いときの話だが、ある日の早朝にたまたま目が覚めて家の外に出ると、はるか遠方、山の間に巨大な何かが顔を出していることに気づいたという。 呆然と眺めているうちに、それがこちら側にどんどん近づいていることがわかって、祖母はすぐに両親を起こしたそうだ。 両親もそれを見て驚き、3人で手分けして集落中に伝えて回った。 最終的に、集落の人々を全員集めてできるだけ遠くに避難す... 続きを読む
白子
海の話です。 昔、漁村では、漁村の出身者同士が結婚するのが一般的でした。 生活習慣や価値観が山村とは異なるためです。 村のAさんは、内陸の村に造船の交渉のため赴いた際、村の娘さんと良い仲になり、お嫁さんとして迎えることになりました。 Aさんは男前で偉丈夫だったので、ねらっている娘たちも地元の村にも少なからずいて、残念がられました。 結婚して子供が生まれました。 長男、長女と生まれて、次男が誕生。みな元気に育ちました。 昔は乳児死亡率が高かったので、めでたいことでした。 次女が生まれたとき村に衝撃が走りまし... 続きを読む
牛蒡種
これは俺が育った田舎町の話。 まわりは山に囲まれてる普通の田舎の町。 田舎ゆえなのか閉鎖的な町で、就職も進学も家から通うのが普通だったんだけど、俺はそれが嫌で高校卒業して関東の学校に進学決めて田舎を離れた。 その田舎での話なんだけど、そこで生活していた俺はさほど怖くはないが、他とは違う特色というか独特な一族がいたので話します。 『牛蒡種(ごぼうだね)』って聞いた事ありますか? ネットでググると出てきます。 自分が小さい頃は『憑き物』をあやつる一族って聞いてたんだけど、ググると『邪視』の部類らしい。 ってい... 続きを読む
新築の事故物件
これは私が大学時代の話だから、もう10年以上も前のことになる。 当時、私は実家から遠く離れた大学に通っていた。 新幹線だと丸一日かかるので、実家に帰る時は飛行機だった。 当然一人暮らしで、大学時代は寮だったのだが、寮にまつわる怪談やうわさ話に反して何事も無く実に平穏だった。 ただとても古い建物だったのでGが多く、寝ている時に天井からムカデが降ってきたなんてこともあり、別の意味で恐怖だった。 大学卒業後、近くにある同系列の別の大学に編入したので寮を出ることになり、近場に部屋を借りることになった。 古い部屋で... 続きを読む
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