前に「アメリカの老人」という題で紹介したお話。サラリーマンが出張先のアメリカの田舎町で、文化大革命の途中に生命の危機を感じた中国人一家が国外逃亡した老人の昔話を聞くというストーリーです。 このお話を、文化大革命って何? 日本で昔あったらしい安保闘争みたいなもの? 的な感覚で読むと、途中から始まるカニバリズムの下りから、ただの法螺話じゃないか? と読み進めてしまう可能性があるかなと思います。 しかし実際、文化大革命という名の内乱と飢餓がもたらした今の常識ではとても考えられない事件が、45年前の今日、6月18... 続きを読む
ヒッチハイク
今から7年ほど前の話になる。 俺は大学を卒業したが就職も決まっていない有様だった。 生来、追い詰められないと動かないタイプで(テストも一夜漬け対タイプだ)「まぁ何とかなるだろう」とお気楽に自分に言い聞かせ、バイトを続けていた。 そんなその年の真夏。 悪友のカズヤ(仮名)と家でダラダラ話していると、なぜか「ヒッチハイクで日本を横断しよう」と言う話に飛び、その計画に熱中する事になった。 その前に、この悪友の紹介を簡単に済ませたいと思う。 このカズヤも俺と同じ大学で、入学の時期に知り合った。 コイツはとんでもな... 続きを読む
キャラメル
小学校1年生の頃、よく自分ちのお墓があるお寺でひとりで遊んでいた。 池の鯉をみたり、お寺に飼われてた猫のミケと遊ぶのが楽しかった。 じいちゃんのお墓にお参りして、周りに生えてるタンポポを摘んでお供えしたりしてた。 ある日、いつものようにタンポポを摘んでいたら、着物を着たおばあちゃんが声をかけて来た。 「泉さんとこの和子ちゃんでしょ? しばらく見ないうちに大きくなって」 と、おばあちゃんは笑ってた。 おばあちゃんはどこのお家のおばあちゃんかって聞くと 「山口先生のとこのおばあちゃんよ」 と答えた。 山口先生... 続きを読む
死ぬ前の贈り物
小学生の頃、よく一緒に野球をしていた友達で、N君という男の子がいました。 N君はクラス一野球が大好きで、自分用のグローブとバットを持ってました。 当時、自分のバットやグローブを持っている子はあまりおらず、学校の備品を借りて遊んでいましたから、N君にとってグローブとバットは、宝ものみたいなものだったと思います。 ところが、ある日のことです。 いつものようにみんなで野球をして、だんだん空が薄暗くなってきた頃「そろそろ帰ろうぜ」という誰かの言葉で、帰ろうということになりました。 みんな家まで数キロは離れた場所に... 続きを読む
エクスカリバー
ゲーム好きな人なら「エクスカリバー」って一度は聞いたことがあるんじゃないだろうか。 洞窟の奥深く、地面に刺さるその剣は選ばれた勇者にしか抜くことのできない…みたいな感じの。 でも俺にとってエクスカリバーはまた別の思い出のある言葉なんだ。 結構長い話だし、幽霊とか呪いとかは出てこないので、あまり怖くないかもしれないが許してほしい。 俺が高校3年の夏休みのことだった。 俺にはマイクと呼ばれる、仲の良い友達がいた。 親友といっても差し支えないだろう。 そいつがマイクと呼ばれていたのは単に外国人顔だったからだ。 ... 続きを読む
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