私が育った集落は、小さな田舎町だけどそれなりの歴史があって、古くから続いている数年に一度のお祭りがある。 仏教や神道とは違う感じだから、おそらく民間信仰の一種なのかな。 別に特別オカルトな事がある訳でもなく、神聖な場所と言われる所に、お婆さんがお供え物と依代の木を持って行って、毎年選ばれる“神様の子”の役目の子供達が、数人で歌を歌うだけなんだ。 ただ、その儀式の行われる日は、その場所に集落以外の人間は入っちゃいけないと言われてて、それは、祀られている神様が依代に移る時に落ち着かないからだと教わってきた。 ... 続きを読む
風習
苗字
高校入学まもなくのこと。 国語の授業中に苗字の話になった。 「苗字で出身地がだいたいわかる」とか「明治以前、どんな仕事をしていたかが苗字によってわかることもある」とかそんな話を先生がしていた。 俺の苗字はきわめて安易につけられたようなもので、その地域によくあるものだ。 (仮に「ジャクソン」とする。日本の苗字使うと問題ありそうだからコレでw) 俺は入学したてにもかかわらず、なぜかその先生と仲がよかった。 そのため、先生がふざけて俺の苗字をバカにしたのよ。 「ジャクソンなんて、ほんと安易なつけ方だよなぁ。しか... 続きを読む
【ショートショート怪異譚(風習)】十柱神社、古井戸の厄除け、古い石の処理
十柱神社 日本の各地に十柱神社(とばしら)と言うのがある。 大抵、日本書紀に出て来た神様だとかを祭っている神社で10人の神を祭るから、10柱というのだそうだ。 土木工事なんかの御利益があると言われている。 ただ近所の十柱神社は不思議なことに、祀られている神様の数が9つしかワからん。 というか、10番目は「来るもん」だそうだ。 あと火気厳禁で神事でも火を使うことは一切禁止されている。 ずーっと気になっていたんだけれど、先日ある工事関係の人からこの神社の秘密を聞くことが出来た。 実は10人目の柱とは人柱のこと... 続きを読む
なぜお赤飯を炊くのか
筆者は若い頃から民俗学が大好きで、宮本恒一の熱狂的ファンを自認し、その真似事をしながら、山登りの途中、深い山奥の里を訪ねて、その土地の人と世間話をしながら、新しい民俗的発見をすることを楽しみにしていた。 かつて、揖斐川の上流に徳山郷 という平安以前に起源を持つ古い村があって、その奥に能郷白山や冠山という奥美濃山地(両白山地)の名峰があり、このあたりの山深い雰囲気に惹かれて何度も通った。今は無意味な形骸を晒すのみの巨大なダム底に沈んだ徳山の里は、筆者の足繁く通った1970年代には、いくつかの立派な集... 続きを読む
二階が怖い
ウチの実家にまつわる話なんですけど…… 母方の実家は、石川県のとある過疎地、海辺の町にありまして、昔、だいたい昭和のなかばぐらいから小商いをやっているんです。 実家の建物は「店舗」と「母屋」の二つに分かれてまして、「店舗」のほうは二階建ての結構大きな建物なんですね。 これは、オイラの爺さん(母親の父ね)がとある筋から買い取って、そのまま店舗として使ってるもので、相当に古い木造建築なんです。 多分、戦前からの建物なんじゃないかなあ、と。 その建物にはちょいといわくがあるんですよ。 そ... 続きを読む
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