受験勉強もやって、かろうじて名門大学に滑り込みました。人並みに頑張ったと思ってます。そして人並みに成果が出たかな。会社勤めがはじまってからも、やっぱり頑張りました。でも、ちょっと頑張りすぎちゃったのかもしれない。 営業入社だったんですよ。どこの会社でもそうですよね、伸び悩んだが最後、他の課への転属が待ってる。人当たりが良くて礼儀正しい、それだけで配置されたなんてド新人にはきつい職場でした。同期に後二人入ったんですね。彼らは半年もしないうちに最初の成績あげたんです。数年に一度しか営業課には残れないっ... 続きを読む
心霊
ミヤマキリシマ
一人で山へドライブに出かけた。この辺りの山にはミヤマキリシマが綺麗に咲き誇るところがあるそうだ。車で細い山道をかなり進んだ。途中の寂れた神社に、参拝する老婆がいた。ミヤマキリシマ?昔はよく見たねぇ……寂れた神社の境内を見て歩いた。もう日も暮れるし帰ろうか。車に戻ると、はて、後部座席に古い着物姿の女の子が座っていた。「おらを探してんのは、おめか?」友達は気味が悪くなり、首を振った。「やっぱりおめだな」びうぅーっと突風が吹くと、女の子は消えた。後部座席には一輪のミヤマキリシマ。 397 今夜が山田 0... 続きを読む
お婆ちゃん子
さとし君は小学三年生、大のお婆ちゃん子だった。学校から帰ると、さとし君はいつも二階のお部屋からお婆ちゃんに呼ばれる。たばこのおつかいをたのまれるのだ。五百円玉をわたされて二百五十円のたばこを買ってくると、残りのお金はさとし君へのおだちんだ。やさしかったお婆ちゃん、大好きだったお婆ちゃん。そんなお婆ちゃんが心ぞうの病気で、急に死んでしまった。お婆ちゃんのお葬式が終わって、親せきのおじさんおばさんたちが帰ると、家の中は急に静かになった。さとし君は二階のお婆ちゃんの部屋に行ってみた。夕日がさしこむ部屋の中には... 続きを読む
階上の子どもたち
大学の友達から聞いた話だけど。 自動車事故にあって鞭打ち症になったAさんは、仕事もできなさそうなので会社を一週間ほど休むことにした。Aさんは結婚しているが奥さんは働いてて昼間は一人だった。最初の数日は気楽だったがさすがに3日目くらいになると暇をもてあましてきた。それでもどこかへ出かけるには体がつらいので家でじっとしていなければならなかった。 そんなある日、お昼も過ぎた頃ぼんやりとテレビを見ていると、上の階の部屋からドスンドスンと音がして子どものはしゃぐ声が聞こえてきた。学校が休みなのかといぶ... 続きを読む
牛ノ首衆(牛の首)
牛の首1 誕生日 私は、今も誰かの視線を感じています。しかも大勢の視線を……私は、あの時、あんな話さえ聞いていなければと後悔しています。私が大学生の頃、親しくしていたボーイフレンドがいました。その人とは「付き合ってもいいかな」と思っていたのですが、なかなかアプローチもしてくれません。彼とは、ずっと友人関係のままでした。ある日、彼の家で、友人達と宅飲みをしていた時のことです。彼が「今日泊が、お前に片想いなんだって」と私に告げました。今日泊君のことは「変わった名字の人だな」と思っていましたが私は今日泊... 続きを読む
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