今まで怖くて誰にも話せませんでしたが、ようやく踏ん切りがついたので話そうと思います。これは私の実体験です。 小学5年生の冬のこと。私は当時、生徒会の副会長を務めていました。しかし所詮は小学生の生徒会。言ってみれば先生の雑用係のようなものです。 その日は雨が降っていました。じゃんけんに負けた私は、一人生徒会室で雑用をしていました。単調な作業にうんざりしながら気がつくと時刻は午後6時。生徒会担当の先生が教室に入ってきて、もう遅いから今日はこの辺で帰るようにと言われました。 雑用から解放され... 続きを読む
心霊
があんがあん
また、田舎の爺ちゃんに聞いた話をちまりちまりと書こうかと。怖いかどうかと言われれば相変わらずなので、まあ話半分程度にお付き合い頂ければ。 まだ俺や兄が生まれるよりいくらか前。時期的にはちょうど今頃、6月の終わりから7月始めの事だと言う。梅雨ただ中のその日、外は朝から土砂降りのような雨が続いていて、野良仕事に出ることもできなかった爺ちゃんは昼間から囲炉裏端で酒をちびちびと煽っていたそうだ。 他にやる事と言えば煙草を吹かすくらいしかなく、昼飯はとうに終えたとは言え夕飯の時間にはまだ随分と時間があ... 続きを読む
雨が降る祭
O県N市……まぁ俺の地元なのだが、ここにはいわくつきの祭りというものがある。 Y川下流域の河原で毎年夏の終わりに行われているT祭りというもので、元々は大昔にY川が干上がった際に人柱にされた二人の兄妹への鎮魂とためのお祭りだったそうだ。『妹は妊娠していた』とか『兄妹は迫害されており、無理やり人柱にされた』といったような、穏やかでない話がたくさんあるが真偽のほどは定かではない。 ただ、あまり納得のいく形で人柱にされたわけではないことは確かなようで、その証拠に兄妹の恨みか悲しみか毎年お祭りの日には... 続きを読む
柿色の傘
先月下旬に出張で山形に行った時の事。駅前でレンタカーを借りて、ぐるぐるとお客さんの所を周ってさ。その日最後の約束先との商談を終えて、車を返す為に市内に向かって山道を走っていた。 商談の途中から雨が降り始めていてさ、帰る頃には叩きつけるようなゲリラ豪雨の状態。お客さんからは「気ぃつけてな」って言われて、山道でこの天気だし車の返却時間まではまだ時間的に余裕があったから「まぁ、のんびり行くか」って、結構ノロノロとしたスピードで走ってた訳ね。 山道はギリギリで車がすれ違える位の道幅でさ。しばらくすれ... 続きを読む
E島海岸
俺は毎年7月の下旬頃、平日に有給休暇をとり湘南に海水浴に行っている。それも一人で。土日は人多いし、彼女とか友達とかいっしょもいいけど、一人のほうが一日砂浜に寝そべってビール飲んで、日ごろの雑多なこと忘れることができる。だから毎年、自分の恒例行事にしている。 ビール飲むんで電車を使う。E電を降りてE海岸に行くまでの一本道に、多くの食堂やショップが並んでいる。その中の一軒の食堂に、俺は遅い朝飯をとるため入った。平日とは言え、学校は夏休みに入っているため結構込んでいた。 隣の席は、母と娘の親子連れ... 続きを読む
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