風習

海より這い寄るモノ

普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。訳を聞いたのだが余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。ここからは彼の語り。ただし、酔って取り留めのない話だったので、俺が整理してる。 まだ学生だった頃、友人と旅に出た。たしか後期試験の後だったから、真冬だな。旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。 何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かったころ既に日は暮れてしまっていた。山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付... 続きを読む

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ふだらく様

自分は子どもの頃から大学に入るまでずっと浜で育ったんだけど、海辺ならではの不思議な話がいろいろあった。自分の家はその界隈で一件だけ漁師ではなく親父は市役所の勤め人だった。砂浜があって国道がありその後ろはすぐ山になっていて、その山の斜面にぽつんぽつんと家が建っていて、浜に漁のための小屋があるようなところ。 自分が小学校頃までは8月の最初の週、7日の日までは漁師は漁に出ちゃいけないことになっていて、特に7日の晩から朝までは子どもは家の外へも出ちゃいけないことになってた。何でも沖に「ふだらく様」の舟が来... 続きを読む

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首刈り地蔵

小学生の頃、両親が離婚し俺は母親に引き取られ母の実家へ引っ越すことになった。母の実家は東北地方のある町でかなり寂れている。家もまばらで町にお店は小さいスーパーが一軒、コンビニもどきが一軒あるだけ。 その町の小学校へ通うことになったが全学年で20人弱同級生は自分を含めて4人しかいなかった。越してきて1年半ほど経ったある日、一学年上の子にいじめられるようになった。原因はなんだったか思い出せない。まぁたいしたことじゃないと思う。とにかくその子のことが大嫌いでいなくなって欲しかった。 その時、首刈り... 続きを読む

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海神様

部落ではないのだが排他的な地域で回りの地域から少し恐れられてる村の話だ。その村の奇妙印象と独自の宗教感を話す。 俺の母方の血筋はちょっと変なんだ。今から話す話は、恐怖体験したというより数年に渡って母方の血筋の実家に通った時に感じた奇妙な印象を書こうと思う。これは俺の祖母の母親の法事でその地域に行った時の印象。 そこは漁村で三方を山に囲まれた小さな集落。人口は200人ちょいぐらいだった思う。となり町まで車で20分ぐらいかかって、ちょうど陸の孤島の印象があった。 10歳、12歳、15歳の三... 続きを読む

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男児がいない村

東京に住む大学生なんだけど、友達が地方の村から出てきた奴でそこの話を聞いた。そこは海辺の村で、そこでは女子の出産率が高いらしい。双子が生まれやすい村もあるくらいだからそれには驚かなかった。 実際は違った。男児が生まれると高確率で奇形児らしい。外見的におかしかったり病気を持っていたりって感じで、今は医療技術も発達してきたからそういうことは一気に減ったらしいんだけど、昔は兎に角、酷かったんだと。 一時期は村から男子がいなくなり、迷い込んだ旅人が男なら一夜限りの天国。酒で男を酔わせて、村の若い女何... 続きを読む

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