風習・因習にまつわる怪異

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引っぱる

漫画家の水木しげるが書いた『のんのんばあ』の話に『引っぱる』というのが出てくるが、数十年前まで俺の住んでいた地方でもこれに似たことがあったんで書いてみる。 当時自分はまだ小学生だった。 『引っぱる』というのは、今まさに死んでいく人間は、その死のまぎわに生きた人を道づれにして冥土に旅立ってゆくことができる、というような話。 うちは四国の山奥の集落だったんだが、当時90過ぎのひいばあさんが肺炎になった。 ひいばあさんくらいの年代は意地の強い人が多くて、前日まで腰を曲げて畑に出ていた年寄りが、明くる日ぱたっと倒... 続きを読む

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疫病の厄除け儀式

うちの母方の実家が檀家になってるお寺の話。 このお寺はそれほど大きくもないし有名でもないんだけど、母が住んでた村の住民は三分の二以上がそのお寺の檀家になっていた。 残りの三分の一は被差別集落の人たちで、その人たちのための別の寺があったようだ。 ただ太平洋戦争後は過疎化が進んで、集落の人はほとんどちりじりにどこかに行ってしまい、 そっちのお寺はもうなくなっているらしい。 その実家のお寺には入ってはいけない場所、禁域がある。 子供の頃、母の里帰りについていったときに見て話を聞いた。 そこは寺の本堂の裏側を数百... 続きを読む

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ノウケン様

ついこの間までお盆の行事だと思いこんでた実家の風習を書いてみる。 実家と言うか、正確には母方祖母の実家の風習だけど。 母方祖母の田舎は山奥で、大昔は水不足で苦労した土地らしい。 それを地元の豪農の人が、私財をなげうってため池や用水路を作り、田んぼで米が作れるようになったそうだ。 でもこの用水路を造るにあたって、殿様というか藩? からなかなか許可が下りず、豪農の母親が自分の命と引き換えに嘆願した……みたいな話を、おばあちゃんから聞いたことがある。ウロ覚えでごめん。 ここまでが前置き。 んでおばあちゃんの地元... 続きを読む

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ヨシユキ様

うちの地域では俺の母親が子供の頃あたりまで、男の子でも女の子でも3~4歳くらいになると必ずあやとりを覚えさせられた。 技は一種類だけで『蛾』と呼ばれるもの。 これはけっこう複雑な取りかたをするが、素早くできるようになるまで何度もくり返し練習させられたそうだ。 今は産業としては成り立たなくなっているが、ここいらは昔は養蚕が盛んで、集落の裏の山(400mほど)のなかほどに『蚕霊塔』と呼ばれる供養塔がある。 こういう供養塔は明治以降、製紙工場の近くに作られたのが多いが、裏山のはかなり古い時代のものらしい。 この... 続きを読む

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きじょさん

ウチの実家のあたりで昔からの迷信みたいなもので、『きじょさん』って呼ばれてるモノがいる。 葬儀帰りに、家に入る前に清めの塩を振るってのがあるが、地元では、葬儀帰りに塩で清めた後、必ず履物を外側に向けて揃えて脱いで家に上がるという風習がある。 そうしなければ、きじょさんが家まで上がり込んで来てしまうことがあるのだという。 仮に、きじょさんが家に上がり込んで来てしまうとどうなるか? 葬儀の夜、その人間の夢枕に、黒く塗りつぶされた顔に黒尽くめの喪装の人物が現れる。 夢枕に立ったその人物(きじょさん)は問いかける... 続きを読む

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