やまあら

小学4年か、5年の夏休みだったと思う。両親の仲がうまくいかなくなり、色々あって、半月あまり父親の実家に預けられた。祖父も祖母も優しくしてくれたので寂しくはなかった。 特に祖父は、釣りの好きなオレを気に入ってくれていた。(どうもオレの父親は、釣りが好きじゃなかったらしい)今日は朝方○×の港、明日は夕方△□の磯、そんな感じで色々な釣り場で釣りの秘訣を教えてくれた。「アキ(←オレ)はなかなか筋が良いわ、タケ(←父)は全然駄目だったがな……」そう言って笑う祖父の顔を見ると、オレも嬉しくなる。自分でも色々工... 続きを読む

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S霊園

T山の話。福岡県にあり、地元民だとすぐにわかると思う。 山の麓にあるS霊園は、その心霊スポットの中でもかなり有名で、地元の多くの若者がそこへ行く。自分も多分にもれずそこに行った事があるが、特に霊的な現象なかった。高校生の時に綺麗な場所でキャンプをしようと言う話が出てきたので、その山の頂上付近にある小屋で、BBQでもしながら遊ぼうという事になった。この小屋は誰でも使用できるようになっており、中には囲炉裏とそれを囲む椅子があるのみ。ただし遊び半分だった為、通常のキャンプとは異なりテントも寝袋も無く、し... 続きを読む

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稚児守り様

日本の「田舎」と呼ばれる場所には様々な因習やら行事が今も残っていたりします。私の祖母の家もそんな田舎。民家が20件そこらで商店すら無い、山に囲まれた集落にあります。 その集落にある公民館の端には山の神様を祀った御社と、その傍らに小さな祠がひっそりと佇んでいます。集落の人から『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』と呼ばれる祠さんには小さな風車(かざぐるま)が供えられていて、カタカタ……と音を立てながら回っている光景が印象的。このお話は、その小さな小さな祠さんに纏わるお話です。 遡ること今から20年ほど... 続きを読む

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霧のダム湖

某釣禁ダムで釣ってたドアホウなツレの話。 平日の早朝からボート出してダムのかなり奥まで進出したとき、突然霧に覆われ視界が遮られた。なんじゃこりゃ~!?と思いつつとりあえずボートを停止、霧はいっこうに消えそうにない。 しばらくして、何処からともなく笛の音が聞こえてきた。それもフルートとかソプラノなんかじゃなく、和笛チックな音色。停船してから1時間、このままじゃラチがあかんし、何より笛の音が気になる。 とりあえず笛の音のする方向に向かって進み出した。最初は微速で、しかし視界4Mくらいしかな... 続きを読む

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落書き帳

昨日、はじめてここの集計サイトに行ってみたんだけど、『残念ながらあなたの娘さんは』って話を読んで思い出した事がある。4年前に、飲み屋で知り合った女の子が語ってくれた話。けっこう長くなったんで、分割して書き込むことにする。 彼女の姉には4才になる息子がいたんだけど、ある時、白血病を患って入院してしまった。 小児白血病ってのは進行が速い。昔に比べれば死亡率は飛躍的に下がったとは言え、まだまだ恐ろしい病気なんだって。だから姉と夫は、祈るような気持ちで毎日病院へ通っていたそうだ。 そこへ現れた... 続きを読む

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