某チェーン店の居酒屋でバイトしてた頃の話。 Mさんという40代の常連がいた。 常連といっても、俺がバイトを始めた頃から店に一人でやってくるようになったのだが、ほぼ一月ほどは毎晩のように通ってきた。 何でも、居酒屋近くのビジネスホテルに滞在しているらしく、だいたい閉店間際にふらりとやって来て、本人定番のつまみを注文する。 それでお互い顔を覚えて、いつしか気安く対応する間柄になっていた。 何せ小さな店舗で、オヤジ系居酒屋だったこともあって、カウンター内で洗い物をしているとよく話し掛けてきた。 いつものようにモ... 続きを読む
心霊
曾じいちゃん
自分の実家は田舎の土地持ち。 先祖が周辺一帯の地主だったらしく、市史にも乗ってる。 家族が住んでる母屋自体はそんなに大きくないけど、敷地は広い。 母屋と前庭以外にも、離れ(父が二十歳くらいまで住んでた古い家。今は物置)、裏庭、温室、竹林、動物小屋跡(昔は山羊とか飼ってたらしい)、家庭菜園スペース、農機具小屋などがある。 前庭だけでもちょっとした体育館くらい建てられるサイズ。 そんなわけで、公道に面した門は大小合わせて五つあったりする。 で、田舎なせいもあって、庭に家族以外の人間が居るのはごく当たり前の風景... 続きを読む
エビぞり嫁
俺は幽霊なんかは見たことがないし、見たことがないから信じていなかったけどこの件があって以来、ものが「憑く」ということはあるんじゃないだろうかと思うようになった。 真夜中で、しかも暗い部屋の中での出来事なんで寝ぼけていたのかもしれないし何かの見間違いかもしれないけど。 携帯からなんでぶつ切りになるかもだけど書き込んでみる。 次の日がお休みだったんでその日は部屋で夜中までDVDを観ていた。 嫁があまり好きじゃないジャンルの映画だったので嫁は先に寝室で寝ていた。 二本観終わったら相当遅くなってしまっていたので寝... 続きを読む
アニメ上映会で
小学校1,2年頃の本当の話。 当時はコロコロコミック全盛期で、今のジャンプ映画みたいにコロコロコミックの映画が沢山やっていた。 (高橋名人とか毛利名人のスターソルジャー対決なんてのもあったなぁ) その人気を反映し、夏休みにもなると、数ヶ月遅れで街の公民館にてアニメ上映会がよくあった。 その夏は確かドラハッパちゃんだった。 ドラえもん、ハットリくん、パーマンの夢の競演だ。 当時コロコロ派だったので、見逃すことは許されることではなく、中学生の姉に頼み込んで連れて行ってもらうことにした。 公民館は3階建ての屋上... 続きを読む
石積みの墓
何年か前、俺が大学生かつ資格学校生だった頃。 山ばっかりの某N県に住んでいた俺は、資格学校へ行くにも車で4~50分かかっていた。 予備校へ行く途中には峠道があり、明りもごく少ない山の中を通る。 都会で電車通いしてる人たちには想像しづらいかもしれないが。 山道と言っても一応国道で、途中には民家はもちろん飯屋だの診療所だのホテルだの、いくつかの建物がある。 その中の、今はもう無い、寂れた診療所の話。 通り過ぎるたびに気になっていたんだが、その診療所の脇にスネくらいの高さの小さな石積みが一つあった。 いつも通る... 続きを読む
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