これから僕が書くことは、むかし出版社に勤めていた親父がある人に書いてもらった体験談ですが、ある事情でお蔵入りになっていたものです。 できることなら霊だとかそういうものには二度と触れずに、このまま後生を過ごそうと思っていました。 ですが、ここに記すことによって、あの頃の私のような向こう見ずな人々を自粛させる事ができるのなら、あの時の償いができるのではないか、またこの忌々しい傷跡が消えるのではないか、と思った次第であります。 1979年8月14日の事です。 私は21歳で、若さと好奇心にあふれる学生でありました... 続きを読む
心霊
祖母の習慣
俺の祖母には、毎日朝早く一人で散歩に行く習慣があった。 その時には必ず双眼鏡を持っていく。 その理由を尋ねた時にこんな話をしてくれた。 祖母がまだ幼いときの話だが、ある日の早朝にたまたま目が覚めて家の外に出ると、はるか遠方、山の間に巨大な何かが顔を出していることに気づいたという。 呆然と眺めているうちに、それがこちら側にどんどん近づいていることがわかって、祖母はすぐに両親を起こしたそうだ。 両親もそれを見て驚き、3人で手分けして集落中に伝えて回った。 最終的に、集落の人々を全員集めてできるだけ遠くに避難す... 続きを読む
新築の事故物件
これは私が大学時代の話だから、もう10年以上も前のことになる。 当時、私は実家から遠く離れた大学に通っていた。 新幹線だと丸一日かかるので、実家に帰る時は飛行機だった。 当然一人暮らしで、大学時代は寮だったのだが、寮にまつわる怪談やうわさ話に反して何事も無く実に平穏だった。 ただとても古い建物だったのでGが多く、寝ている時に天井からムカデが降ってきたなんてこともあり、別の意味で恐怖だった。 大学卒業後、近くにある同系列の別の大学に編入したので寮を出ることになり、近場に部屋を借りることになった。 古い部屋で... 続きを読む
パンク
携帯からで申し訳ないんだけど、紛れもない実話。 昔、当時の彼女と同棲してた時の話。 同棲に至った成り行きは、彼女が父親と大喧嘩して家出。 彼女の父親は大工の親方してる昔気質。 あまり面識はなかったが、俺も内心びびりまくりの存在だった。 仕方ないから、彼女と俺の有り金かき集めて、風呂無しぼろアパートで同棲。 しかし最悪のアパートで、ゴキブリは出るし、畳は湿気ですぐ腐るし、上の階に住むバンドマン風の若者は毎晩大声で歌の練習するし、隣に住む老人は薄気味悪いし……。 まぁそんな最悪な環境にも、だんだん適応しながら... 続きを読む
鏡のないトイレ
高校での話。 出身高校の商業科棟のトイレにはすべて鏡がありません。 正確にいうと、鏡を取り付けていた跡は残っています。 もちろんその他の『普通科棟』『普通科棟Ⅱ』『普通科棟Ⅲ』『体育館』『図書館棟』には通常通り鏡はあります。 鏡が外された訳は在学中の兄から聞きました。 その時は普通科の特進クラスに通っている兄からの話のため正確な情報は聞けませんでしたが、噂によると、卒業を前にした商業科男子生徒が、学校の風景を心に残すため校内を回っているうちに、商業科棟の屋上から転落死したそうです。 それ以来、商業科棟の鏡... 続きを読む
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