やまあら

小学4年か、5年の夏休みだったと思う。両親の仲がうまくいかなくなり、色々あって、半月あまり父親の実家に預けられた。祖父も祖母も優しくしてくれたので寂しくはなかった。 特に祖父は、釣りの好きなオレを気に入ってくれていた。(どうもオレの父親は、釣りが好きじゃなかったらしい)今日は朝方○×の港、明日は夕方△□の磯、そんな感じで色々な釣り場で釣りの秘訣を教えてくれた。「アキ(←オレ)はなかなか筋が良いわ、タケ(←父)は全然駄目だったがな……」そう言って笑う祖父の顔を見ると、オレも嬉しくなる。自分でも色々工... 続きを読む

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白子

海の話です。 昔、漁村では、漁村の出身者同士が結婚するのが一般的でした。 生活習慣や価値観が山村とは異なるためです。 村のAさんは、内陸の村に造船の交渉のため赴いた際、村の娘さんと良い仲になり、お嫁さんとして迎えることになりました。 Aさんは男前で偉丈夫だったので、ねらっている娘たちも地元の村にも少なからずいて、残念がられました。 結婚して子供が生まれました。 長男、長女と生まれて、次男が誕生。みな元気に育ちました。 昔は乳児死亡率が高かったので、めでたいことでした。 次女が生... 続きを読む

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霊魂を迎える行事

先日体験したばっかりの霊体験。 自分の実家は西日本の漁村だ。 正直田舎、それもかなりの。 ご先祖様の霊魂をお迎えし、また送り出すという盆の行事も勿論普通に行われてる。 うちの村の場合なんだが、海岸から沖に向かって防波堤が伸びてて、この一番先に門(と言っても大人が屈んでくぐれるくらいの木枠)をこさえて、その門から毎年8/7に霊魂を迎える。 防波堤は岩を敷き詰めて作ったもので、盆の間は魂の通り道になるから、生きた人は近づいちゃいけないことになってる。 8/8から8/14までは、その海の目の前に... 続きを読む

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ナガレボトケ

海専門の民俗学教授から聞いた話。 海難法師だとか海の向こうから流れてくるモノを忌み畏れる風習っていうのは農耕民族的な考え方で、本来は漁民から発した価値観ではないらしい。 むしろ漁民は古来、漂流して来るモノはすべて海神からの授かり物として歓迎するのが一般的だった。 たとえばそれが水死体であっても。 ナガレボトケといって、漁中に漂流死体を見つけると、漁師は作法にしたがって船に引き揚げて陸地へ持ち帰り、手厚く葬ると大漁をもたらしてくれるので、これに出会うととても喜んだという。 中にはナガレボトケを... 続きを読む

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砂風呂

昔ね、友達と海に行った時の話なんだけど。 砂風呂をやろうとして、あんまり人目が多い場所だとちょっと恥ずかしいから、あんまり人気のないところで、友達に砂かけて埋めてもらったんだ。 顔には日よけのパラソルがかかるようにしてもらって快適だったし、すぐにウトウトし始めた。 その時、不意に誰かが近づいてくる気配がして 「オキテタラヤル」 と、若くはない女性の声でしゃべったのよ。 友達の声じゃなかったし、妙に抑揚が無いしゃべり方だった。 かなり眠かったから無視したんだけど、結局それきり声はかけて... 続きを読む

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