私の母方の祖母は以前産婆をしていました。 以前といってもかなり昔で今から50年前くらいになると思います。 どんな子も小さい時はまるで天使のようにかわいいもんだ、といって幼い私によく話をしてくれました。 とても楽しかった。熱いお湯、清潔なシーツと毛布の用意を忘れないこと、赤ちゃんが生まれたときの感動、お母さんの泣いて喜ぶ姿。 そういう場に居合わせられる事が産婆をしていて本当に幸せだということ。 幼い私に聞かせるので当然の事なのですが、祖母は産婆という仕事の明るい部分だけをおもしろ可笑しく聞かせてくれました。... 続きを読む
人物にまつわる怪異
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死ぬ前の贈り物
小学生の頃、よく一緒に野球をしていた友達で、N君という男の子がいました。 N君はクラス一野球が大好きで、自分用のグローブとバットを持ってました。 当時、自分のバットやグローブを持っている子はあまりおらず、学校の備品を借りて遊んでいましたから、N君にとってグローブとバットは、宝ものみたいなものだったと思います。 ところが、ある日のことです。 いつものようにみんなで野球をして、だんだん空が薄暗くなってきた頃「そろそろ帰ろうぜ」という誰かの言葉で、帰ろうということになりました。 みんな家まで数キロは離れた場所に... 続きを読む
ユキオ
小学校のころ、俺のクラスにユキオ(どんな漢字かは忘れた)っていう奴が転校してきた。 小柄でハーフっぽい顔で、どことなくオドオドした感じの奴だった。 ユキオには両親がいなくて、爺ちゃん婆ちゃんと一緒に暮らしていた。 その辺の事情を先生は教えてくれなかったがユキオ本人から聞いた。 俺たちは最初のうちユキオをイジメた。 と言っても金脅し取ったりとかじゃなくて、すれ違いざま背中にエルボーしたり、筆箱をカッターで切ったり、集会の時にオナラをしたと騒ぎ立ててみたり、まぁ他愛もないものだったと思う。 それでも本人には辛... 続きを読む
釣り場の老人
俺が大学1年の時の話。 何もない田舎の大学に通う俺と大学の友人は、夜釣りに行くことを趣味にいていた。 大学は、大きな漁港を持つ日本海側の地方都市に立地し、釣りの場所には困らなかった。 その晩はメバルを釣ろうと思い、友人kと漁港に出かけた。 そして、漁港の入り口付近のテトラポットの間を狙って釣りをしていた。 夜の漁港はとても静かだ。朝が早い漁師は、暗くなる前に漁港から姿を消してしまう。 波がテトラポットにぶつかって砕ける音だけが、規則的に聞こえてくる。 釣りに集中しルアーの動きを追っていた俺は、隣から突然誰... 続きを読む
10円ババア
俺が小坊だったころ駅の近くにあるタバコ屋の前に「10円ババア」つうのがよく出没した。 まぁ所謂「10円くれよ」つって手のひら出して迫ってくるって奴だ。 色々な生徒が何度か目撃してたが最初はビビって本当にあげた奴もいたが、何回か遭遇するうちに馴れてみんな無視するようになった。 そういう俺自身も2、3回せがまれたんだがそのころには上の対処法が一般化してて無視して通り過ぎてた。 そんなある日、友人が俺の家に遊びに行きたいというので二人で俺ん家に向かってるとタバコ屋の前で10円ババアとバタリと遭遇した。 例の如く... 続きを読む
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