集落・部落にまつわる怪異

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山彦の夜

俺は従兄弟達の家に二度と行かない。 ちょうど去年の夏の話。 俺は従兄弟に誘われて、従兄弟の家に行った。 茨城県の山の奥深い所で、人の気配もなく田んぼがずらーっとならんでいた。 夏とは思えないほど涼しく、とても居心地の良い所だった。 従兄弟達とは昔から仲が良くて、小さい頃はしょっちゅう遊んでいた。 従兄弟は四人いて二人は仕事を探しに東京に行っていた。 あとの二人は父親の跡継ぎで農業をしていた。 そんな従兄弟の家に泊まっていたある日の夜、深夜友達とメールをしていて、そろそろ眠くなってふとんで寝ようとした時、変... 続きを読む

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神社裏の小屋

もう何十年も前の小学校時代の話。 確か4年生の夏休みだったと思うけど、友だちと二人で神社の境内で遊んでた。 そこは深い山の入り口にある小さな神社で昔は地域の氏神的な扱いでお祭りもあった。 けれど新しい神職の代になってから集落の氏子衆と仲が悪くなり、お祭りも立ち消え、参拝する人もほとんどいなくなって寂れる一方だった。 神職は生活ができないから何かの卸のような商売を始めて、時々都会から柄の悪い連中がバンでやって来ていたと後で聞いた。 大人は暗にその神社で遊んじゃだめだって口ぶりだった。 でもカブト虫やクワガタ... 続きを読む

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殺人の記憶

俺が小学生の頃の話。 5年生だったから、もう想像と現実の区別はできているのに、絶対に現実とは思えないのに、どうにも頭から離れないある映像が気がかりでならなかった。 どうも、自分は小さい頃に人を殺したことがあるらしい。 幼稚園にも入る前で、相手は同じ年頃の小さな女の子であるらしい。 近所にそんな小さなうちに死んだ子はいないのだが、なぜかそんな気がしていた。 その子の骨が埋まっている場所の映像の記憶。 それが頭から離れない。 田舎なもんで、林を切り開いて建てられた俺の家は庭が結構広かった。 当時は回りの家もみ... 続きを読む

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絶対に入ってはいけない辻

あれは俺が小学生の頃だから、もう20年も昔の話だ。 今回は少し長いっす。 俺の出身は北関東の寒村で、周りは田んぼと山だらけだった。 だから子供の頃は田んぼで藁の束を積んで秘密基地を作ったり河で魚を取ったりして遊んだもんだ。 村の人たちも皆いいひとばかりで田舎ならではの良さがある村だった。 そんなよくある田舎の村だったが、たった1度だけ村全体が恐怖に陥った出来事があった。 今日はその事件を書いてみる。 その村には「絶対に入ってはいけない辻」というものがある。 辻とは言っても小さな丘のような所で、幅3m、奥行... 続きを読む

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おもんさま

母方のおばあちゃんが去年亡くなった。 97歳の大往生だった。 事情があって私は中学を卒業するまでおばあちゃんに育てられたから、おばあちゃんとはたくさんの思い出がある。 中でも印象深いのは、おばあちゃんがよく話してくれた昔話の数々。 地域に伝わる古いお話らしいけど、子供向けの『桃太郎』とか『金太郎』みたいな物語じゃなくて、ちょっと怖いお話が多かったからよく覚えてる。 お話ごとに登場人物とか出来事は違うのに、どの話も共通して舞台となる集落の特徴が同じだったし、必ず『おもんさま』という存在が登場していた。 集落... 続きを読む

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