最後の添い寝

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いい話ってほどではないけど……
昔、猫を飼っていた。
それほど可愛がっても、可愛がってなくも無かった。
あまり愛想の無い猫で、ごはんが気に入らないと自分でぷいと外に狩りに行くような猫だった。
外ではいつも野良とまじって遊んでいて、家族以外の人が呼んでも絶対来なかったので知らない人は絶対野良だと思ったと思う。
学校の帰りに、外で遊んでるうちの猫を見かけて呼んだらニャーと鳴いて私のまわりを一回りしてから、また戻って行った。
夜になると布団にするりと入ってきて一緒に寝た。
北海道の冬は寒いので、猫は絶対人の布団に入ってくる。
深く眠っていても、猫が来ると冷たい鼻を顔におしつけてくるのですぐにわかる。
掛け布団を持ち上げると、するりと入ってきて丸くなった。
東京に就職して家を出るまで、毎日、一緒に寝た。
ひとり暮しを始めて1年ぐらいたったある日、眠っていると冷たい鼻の感触があった。
ああ、猫だ。と思って、掛け布団をあげてやる。
でもなぜか、少し躊躇しているようで、なかなか入ってこない。
どうしたの?いいよ、はいんな、寒いよ。
猫はやっと入ってきて、それから布団の中で丸くなった。
ああ、ひさしぶりだ、ひさしぶりだね。
と思っていたら目が覚めた。
次の日の夕方、妹から猫が先月から帰ってこないと電話があった。
その猫はそれっきり帰ってこなかった。
近所の人が、それらしき猫が車にはねられて死んでいたと教えてくれが、妹は確認しにいく勇気が無かったと言っていた。
あまり可愛がってなんかいなかったけど、立ち直るのに少し時間がかかった。
もう8年以上前の話。
336 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/09/06 01:12 より

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コメント

  1. 匿名 より:

    最期の挨拶に来たんだ。律儀な猫だね。放し飼いされて可哀想…

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