怪異譚の収集コピペだけでは何ですから、たまには私が読んだ本や調べ物なども載せていこうと思います。
コーヒーブレイクみたいなものと思って付き合ってもらえれば幸いです。
本ブログ内で紹介している「禁断の田代峠奥 高橋コウの手記」にアクセスいただくことが多いのですが、この手記自体は中央公論社さんの婦人公論で1979年8月に掲載された「禁断の山に踏み込んで見たもの」が原典になります。
また、手記は高橋コウ名義になっていますが本当の筆者は夫の高橋邦安氏です。
この辺のことを深く突っ込んだ本「謎解き超常現象3」がありましたので読んでみました。
本書シリーズは、一般的にはいわゆる似非科学的なトンデモ本の類に該当されるものではあるのかもしれませんが、あくまでも視点が「オカルトには懐疑的」であり調査自体がしっかりされているように見受けられます。(とは言ってもやはり話半分に聞くのが、この手の本の正しい楽しみ方だと思います)
田代峠に関する記述はP58~P69にありました。
中々衝撃的な内容です。
まず記事は夫の高橋邦安氏が書いたものとのことでしたが、そもそも高橋コウさんの体験を書いたものではないとのこと。息子すら同行していない。つまり、体験談は高橋邦安氏本人の体験であるようです。
なおこの高橋邦安氏が行方不明になった事があるという事実は日本宇宙現象研究会(JSPS)が裏取りをしたとのこと。
さらに高橋邦安さん以外に田代峠で超常現象にあったというフリールポライターのI氏の体験談というものが登場します。(完全に初耳でした)
このI氏の正体も本書では暴露されていましたが、およそレポートの信頼に足る人物ではないと締めくくっています。
手記内に登場する洞窟についての調査も行なっています。が手記にあった洞窟そのものの存在も発見できなかったようです。
その他にも、自衛隊の事故や機体なども調べるなどいろいろな角度から「高橋コウの手記」や「田代峠の超常現象」について突っ込んでいました。
非常に面白かったです。
ちなみに、この「高橋コウの手記」が発表された1979年はオカルト雑誌といえばこれという「学研ムー」が創刊された年だったりします。当時はオカルトブーム真っ最中だったこともありテレビも雑誌もオカルト特集がよく組まれていました。イメージ的には初期のちびまる子ちゃんの世界が分かりやすいですね。ノストラダムスやお化け屋敷、ツチノコの話が出てくるあたりの雰囲気はまさにそのものです。
ところで、この手記は山形県にすむ高橋邦安氏の体験談ということになっています。少なくとも彼は行方不明になっているわけです。
山形県を含む東北地方には「迷い家(マヨイガ)」と呼ばれる伝説が存在します。これは柳田国男が東北地方の民話伝承を集めた「遠野物語」で紹介されています。
迷い家とは「山奥に迷い込んだ村人や旅人が偶然見かけた立派な屋敷、そこに入っても誰もいない。休憩して帰路についた後、再び訪れようとしても見つけることが出来ない。屋敷の中で何かを持ち帰るとその物自体に凄い効果があった」みたいなそんな話です。
※遠野物語は著作権が切れたため現在青空文庫等で無料で読むことができます。
そして時代がすすむと、迷い込んだ人が旅人から国の調査員などに変わり、さらに出来事も呪われるとかタタリにあう等の怪談めいたものに変わって受け継がれているようです。
この「高橋コウの手記」もまたオカルトブームに湧いた頃に「マイヨガ」が進化を遂げた走りと思うと、タダの法螺話として済ませるよりも、民俗学的にはとても貴重な資料なのではないか、と思います。
ムー なんか友達の家で読んだ記憶あります。不思議な話全般に特集してたよなあ 懐かしいわ