届いた手紙

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

前略 中島様

オフ会でお会いしただけの中島様に突然こんな手紙をお送りしてもうしわけありません。
でも誰かに話を聞いてもらわないと気が変になりそうなほど、今、私は怖いんです。
この1ヵ月ほどの間に3人の女の子が連続して死んでいます。

住所も違って事故だったり病気だったりするので別の事件になっていますが、みんな殺されたんです。
書いている事がめちゃくちゃなのはわかっています。
でも私は狂っていません。いえ、もう狂っているかも知れませんが、全部本当のことです。

最初の事から書きます。
10月の連休に、富士五湖へ1人で旅行に行きました。
止まった間はユースホステルで、4人の相部屋になりました。
同じ部屋になったのは長野の立野さん、和歌山の相沢さん、福島の大谷さんの3人で、偶然にもみんな私と同じ高校生で、1人旅でした。

簡単な自己紹介だけですぐに親しくなり、次の日の富士五湖観光もすぐに決まりました。
観光バスで白糸の滝や青木が原の樹海を回るコースでした。
青木が原といえば、どうしても自殺の名所というイメージがあります。
私たちは自殺した人をネタにしてギャグを言いあいました。

「ここに迷い込んだら助からないって言うんじゃない?ほんとにそうなのかなぁ。方向オンチなだけじゃないの」
「ここ。。心霊写真がよく写るんだって」
「写ってたら投稿しよっか。あ、売れるかな?」
私たちは大笑いしました。

ユースに帰ってから、私たちが青木が原に行ったその前の日に自殺した人の死体が見つかった事をペアレントさんから聞きました。
だからその夜、そんな事をする気になったのかも知れません。
言い出したのは、福島の大谷さんだったと思います。

「ね、コックリさんしようか」
大谷さんがオカルト好きだというのは、なんとなくわかっていたので別にびっくりしたりしませんでした。
びっくりしたのは、私も含め、誰も反対しなかったことです。
あっという間に用意ができました。
いろは48文字や数字、「はい」「いいえ」そして鳥居などが書かれた紙…それと10円玉が1枚。
コックリさんは3人でします。私はパスする事にしました。

「…だれを呼ぶの?」
「決まってるじゃない。きのう青木が原で見つかった人よ」
あたり前のことを聞くなと言うように、相沢さんが言いました。
オカルトに詳しい大谷さんがコックリさんを呼ぶ役でした。

「コックリさんコックリさん、お願いします。どうぞ私たちのところにおいで下さい」
何回それをくりかえしたでしょうか。
いつのまにか、3人は声をそろえてコックリさんを呼んでいました。
目が普通じゃないように見えました。

その時、10円玉がふいに「はい」のところに動きました。
全員が息をのみました。
「あなたは、青木が原で亡くなった方ですか?」
10円玉は「はい」のところのまま動きませんでした。
こんなに都合よく思った通りの霊が呼べるものなんだろうか。

私は内心疑問でしたが10円が動いたのは確かです。
「あなたはなぜ死んだのですか?」
青木が原は自殺の名所です。
「じさつ」になると思いました。
ところが「こ・ろ・さ・れ・た」と動いたのです。

「殺されたって、あの、犯人は…?」
10円が動きました。
「う・ら・む」
「うらむって?」
大谷さんが聞きましたが、10円は同じところばかりを繰り返し動きました。

「う・ら・む」「う・ら・む」「う・ら・む」「う・ら・む」
「どうか、気を静めて下さい。お願いします」
大谷さんが必死に言いました。

「…ねぇ、もう帰ってもらったら?」
立野さんが小声で言いました。怖くなったんだと思います。
大谷さんもうなずいて言いました。

「ありがとうございました。どうぞ鳥居へお戻り下さい」
10円がすっと何も書いていないところへ行き、動かなくなりました。
「帰ったの?」
「…まだだと思う。鳥居のところで止まらないと」

「あっ」
全員思わず声を上げてしまいました。10円玉が動いたんです。
「つ・き・は・お・ま・え・た」
「『次はお前だ』って言ってる!」
10円は3回ほど「つきはおまえた」と動いてから、今度は小さく
ぐるぐると回りだしました。

「お願いです!お戻り下さいっ!」
みんなの顔色が真っ青になっていました。
今思うと、よくそんなことができたと思いますが、ぐるぐる回って止まらなくなった時、私はとっさに10円を紙の上から払い飛ばしました。

「はうっ」というような声を上げて3人が顔を上げました。
「…なんて事するのよ。鳥居に戻ってないのに…」
大谷さんが言いましたが、私も言い返しました。

「何言ってんの、あのまま続けてたら、どうなってたかわかんないじゃない!」
結局、それでコックリさんは終わりました。

私たちは次の日の朝、別れました。
別にけんかしたわけではなかったのですが、何か、気まずい感じでした。
それでも、みんなで撮った写真などを送るためおたがいのアドレスや携帯番号はメモっておきました。
私たち4人が体験した事は、これだけです。

オカルト好きの福島の大谷さんが死んだのを知ったのは、偶然でした。
旅行から帰ってきて2週間ぐらいした頃、家の古新聞を束ねていた時、その記事に気が付きました。
ミニバイクに乗っていて、左折してきたトレーラーに巻き込まれたという事でした。即死だったそうです。日付は3日前でした。

あの時のコックリさんの言葉、「つきはおまえた」が頭に浮かびました。
やはり、次に死ぬのはお前だという意味だったのでしょうか。
それから注意してニュースや新聞を見るようにしましたが、覚えのある名前は見かけませんでした。

福島の大谷さんには悪いのですが、私はほっとしていました。
やはり偶然なんだ…そう思いました。
和歌山の相沢さんから電話がかかってきたのはそんな時でした。

「長野の立野さんが死んじゃった!」
いきなり相沢さんは言いました。
「どうして!」私の声は悲鳴のようでした。
「いつ?なんで死んだの?事故?」

「さきおととい!心臓マヒで!きのう立野さんの家に電話したらお母さんが出て夕方急に胸が苦しいって言って、救急車で病院に行ったけど、だめだったって。やっぱりコックリさんのたたりなんだ!」
「何でそうなるのよ!偶然かも知れないじゃない!」
「だって福島の大谷さんも死んだじゃない!」

私は一瞬、絶句しました。
「…知ってたの?」
「長野の立野さんから電話かかってきたの。死ぬ2日くらい前。福島の大谷さんの次は私かも知れないって。立野さんは、福島の大谷さんから『私もうすぐ死ぬかもしれない』っていう電話を受けたんだって」

「どうして1人死んだら次が死なないといけないのよ!自殺ならともかく、事故とか病気でしょ?偶然よ!」
正直に言うと、そういう私自身、とても偶然だとは思えませんでした。
「…信じないのね」
相沢さんは言いました。

「信じないなら、みんなで写ってる写真、見てみなさいよ!」
そう言って、相沢さんは電話を切ってしまいました。
写真というのは、白糸の滝で、人に写してもらって4人で写っている写真の事です。
私は机の引き出しに入っているその写真を出しました。

見た瞬間、私は気を失いました。
写真には和歌山の相沢さんと私しか写っていませんでした。
福島の大谷さんと長野の立野さんが立っていた所は、ぽっかりとあいていました。
2人は写真から消えていました。

和歌山の相沢さんが死んだのは、電話の3日後でした。
中島様もニュースで見られたかも知れませんが、殺されたのです。
犯人は相沢さんと何の関係もない人で、通り魔殺人でした。
覚醒剤中毒で、錯乱状態だったという事です。

和歌山市内の繁華街で、わけのわからない事を叫びながら暴れまわり、たまたまそこにいた相沢さんを、持っていた刺身包丁で刺したんです。
犯人は相沢さんを刺す時、こう叫んだそうです。
「次はお前だ!」

あの時の4人で生きているのは、もう私だけになりました。
白糸の滝の写真には、私が1人ではしっこに立っています。
人が見たら、へたくそな写真だなと思うでしょう。

さっきから、1行書いてはぼーっとしています。
ちょっと気持ち悪いんですが、ぼーっとしている時、いつの間にかカッターナイフを手に持っています。
カッターの刃をカチカチ出したりしながら、今私が死んだらノイローゼのせいだとみんな思うだろうなぁ、と考えたりします。

もちろん自殺するつもりなんてありませんけど。
もし私が死んだら、それで終わるんでしょうか。
それとも、今度は別の誰かが死ぬ事にな
つ ぎ は お ま え だ(血文字?&赤い手形)

785 本当にあった怖い名無し 2005/07/26(火) 20:37:38 ID:3mmLtGq00

人気ブログランキング
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメント

  1. 匿名 より:

    そ、創作だよね…?
    創作だと思いたいよう…

  2. 匿名 より:

    まあ投稿してる余裕がまだあるのでお祓い行く元気あるでしょ

コメントを残す


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

SNSでもご購読できます。