私が育った集落は、小さな田舎町だけどそれなりの歴史があって、古くから続いている数年に一度のお祭りがある。 仏教や神道とは違う感じだから、おそらく民間信仰の一種なのかな。 別に特別オカルトな事がある訳でもなく、神聖な場所と言われる所に、お婆さんがお供え物と依代の木を持って行って、毎年選ばれる“神様の子”の役目の子供達が、数人で歌を歌うだけなんだ。 ただ、その儀式の行われる日は、その場所に集落以外の人間は入っちゃいけないと言われてて、それは、祀られている神様が依代に移る時に落ち着かないからだと教わってきた。 ... 続きを読む
祭
能面が起きた
怖い話ではないけれど、気になっている話を……。 私は東北在住なんですけど私の住んでいる地域で最近変な話があるんです。 『能面が起きた』と。 それは、今年の5月に私の住む部落(地域的な意味です)で急きょ祭りが行われることになりました。 今まで無かった祭りが急にできたのです。 それで、知り合いの区長さんになんの祭りか聞いてみました。 17歳以上の者はほぼ強制参加。 祭りと言っても出店があるわけでもなく、お寺の境内で火を焚いて鎮魂すると。 教えてくれたのはそれくらい。 しつこく聞いたのですが『どうせ参加しなくち... 続きを読む
止めてはならない祭
何処かわかってしまいそうなので、方言などは省かせていただきます。 子供の頃の話です。 私が住んでいた山奥の村では、年に一度、奇妙な祭りがありました。 松明を持って、村の大人(男の人達)が山に入っていくだけの祭りです。 この祭りの日は、子供は外に出てはいけないことになっていました。 一度外に出ようとして、すごく怒られたのを覚えています。ばあちゃん曰く、「知らんでいい」だそうです。 私には、B君という幼馴染が居ました。(私をAとしておきます) B君とは、よく親と一緒に川に行って泳いだり、近所の山にいって野苺と... 続きを読む
南伊豆の村祭り
これは今から約15年前、南伊豆の小さな村で私が実際に体験した、怖いというより少し不思議な話です。 小学3年生の夏。 私たち家族(父・母・私)は、お盆休みを伊豆のK村という場所で過ごすことになった。 かつては漁業と民宿業で栄えたこともあったようだが今では過疎化も進み人口わずか百人足らずの小さな村である。 私の母はこの村の出身だが幼い頃に東京に引っ越してしまったため、現在は遠い親戚が残っているだけだ。 それでも田舎の村というのは親戚間のつながりが強く(村人のほとんどが親戚なのだが)、着いた翌日には顔を合わせて... 続きを読む
雨が降る祭
O県N市……まぁ俺の地元なのだが、ここにはいわくつきの祭りというものがある。 Y川下流域の河原で毎年夏の終わりに行われているT祭りというもので、元々は大昔にY川が干上がった際に人柱にされた二人の兄妹への鎮魂とためのお祭りだったそうだ。『妹は妊娠していた』とか『兄妹は迫害されており、無理やり人柱にされた』といったような、穏やかでない話がたくさんあるが真偽のほどは定かではない。 ただ、あまり納得のいく形で人柱にされたわけではないことは確かなようで、その証拠に兄妹の恨みか悲しみか毎年お祭りの日には... 続きを読む
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