人物にまつわる怪異

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約束

時に小学3年生。 学校が終わると、真っ先に家に帰りランドセルを放り、Uターンで家から飛び出しては、ほどない距離にある児童公園へと遊びに行っていた。 そこには同じように集う友達が幾名、公園は子供なりの社交場として機能し、来る日も来る日も友達同士で、そこで夕方まで遊ぶ生活を送っていた。 そして話は変わって、この公園には時々現れる名物の少年がいる。 歳は同い年。容姿も至って平素であるが、三つの非凡な点が挙げられた。 一つは、彼には悲しいほど友達がいないこと。 もう一つは、家が裕福であること。 もう一つは、彼は公... 続きを読む

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とーきのぼー

埼玉県西部にある国道の整備で、道沿いの山の中に管理事務所立てて夜間も作業してた。 夜勤以外の大半の者は家に帰ったり、近くの町のビジホとかに泊まった。 俺は元請の責任者とこの事務所に寝泊りしてた。 夜勤のある平日は夜中も誰かしら事務所にいて何事もなかった。 それでも作業が休みの日もあるわけで、一日中誰もいない。 責任者も帰っちゃって、俺だけが残った。 国道って言っても山の中を通ってるから、交通量は多くない。 夜はたまに走り屋みたいなのとトラックがまばらに走ってるだけ。 ひとり残されるとけっこう怖い。 昼間、... 続きを読む

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郷里の妹

学生運動のあった時代というので、70年代の頃 の話だろうか。 N君は極めて真面目な学生で、学内をヘルメット姿の学生たちがヤクザまがいに闊歩しているのを避けながら、こつこつと勉学に打ち込む純朴な青年であった。 数に物を言わせて頭でっかちな論争を吹っかけてきては興奮して騒ぎ立てる連中とは違って人当たりもよく、彼は教授たちにも可愛がられていたという。 ただどことなく。 線が細いというか、か細いというか、どことなく何かが弱い印象があったという。 影が薄いというのだろうか。 ある日、N君が憔悴しきったような顔でふら... 続きを読む

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ナレーション

小学5年生の頃、アメリカでワールドカップが開催された。 だからというわけじゃないけど、幼馴染のNとよく近所の公園でサッカーをしていた。 ある日 「たまには別の公園でやろう」 という話になり、自分たちの行動範囲外のまだ行ったことのない(あるということだけ知っている)公園に行ってみることになった。 その公園は昼間でも薄暗くジメジメしていて、何となく神社の敷地を思い起こさせた。 俺もNもその薄気味悪い雰囲気がたいそう気に入り、かなり遠いにもかかわらず自転車で度々遊びに行くようになった。 何度目かのある日、Nとそ... 続きを読む

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お守りババア

地元のキチガイの話。 オレが小学生だった頃、地元に有名なキチガイババアがいた。 あだ名は『お守りババア』 お守りババアは俺が通っていた小学校の正門前に、夕方頃になるといつも立っていた。 お守りババアは一年中厚手のコートを着ていて、同じくいつも被っているフェルトの帽子には、沢山の小さなぬいぐるみが縫い付けてあった。 コートも帽子も原色まんまの赤一色で、教室から校門を見ただけで、一目でお守りババアがいる事が分かった。 お守りババアはいつも両手を体の脇にぴたりとつけた気をつけの姿勢で、その姿勢を崩す事は決してな... 続きを読む

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