羊が来た

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

小学生の頃の冬の話。

母親は台所で料理してて、俺はテレビを見てた。
インターホンが鳴って、母親が出た。
どうやら父親がいつもより早く帰ってきたらしい。
手が離せないからと言われ、俺は玄関の鍵を開けに向かった。
廊下の奥からドアを叩く音と
「寒いー早く開けてくれー」
という父親の声が聞こえた。
小走りで廊下を駆けて、玄関を開けた。
父親の顔をした羊が俺の目の前にいた。

ドアを閉め一目散に逃げたが、母親は父親が帰ってきたと思っているので、なかなかリビングに来ない父を迎えに玄関へ行った。
鍵が開いているのに開けてくれと言ってるのを不審に思ったのか、母親はドアスコープから外を見た。
途端に悲鳴をあげ、俺を抱えてリビングへ逃げた。
急いで父親の会社に電話を掛けると、父親は会社にいるという。
玄関の外の声は確かに父親だったのにだ。

何分経ったかわからないが母親と抱き合ってじっとしていると、再びインターホンが鳴った。
母親の尋常でない慌てぶりと、ドアの外に何かいるという事を聞いた父親がどうやら通報したらしく、警察の人が来ていた。
玄関口で警察と話していると、父親が慌てて帰ってきた。
警察は
「また不審者が来たら迷わず通報してください」
と言って帰った。

母親の話では、マンションの廊下を羊が埋め尽くしていて、中には俺や母親の顔をした羊もいたらしい。
父親の声を使ってドアを開けさせておいて、我が家を乗っ取る計画だったのかと思った。
うちの家族だけでなく、廊下を埋めるほどの羊がいたということは、ほかの住人は既に入れ替わっていて羊の家族と過ごしているのかもしれないと思った。

思い出して怖くなったので書いた。

940 1 2012/01/05(木) 07:07:02.27 ID:y3lA+qPO0

人気ブログランキング
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメント

  1. 匿名 より:

    この羊は二足歩行だったのだろうか

  2. 村下冬樹 より:

    羊男の冒険

  3. 鬱くしい国 より:

    どうも羊です。
    その節は突然の訪問失礼致しました。
    とても良いジンギスカンが手に入ったので、是非召し上がって頂きたいと思い、お伺いした次第でございます。
    次はラムチョップを持ってお伺いさせて頂きたく存じます。

  4. 霊感ゼロのオカルトマニア より:

    何で羊……
    一頭だけ捕まえてペットにして毎年セーターとかを作ろう

    さて、オカルトは超大好き、基本的には全て真実なんだと信じたい者です、
    が、こーゆー事に非常に現実的に考えるタチなので…、廊下を埋め尽くす程の羊はお巡りさんが来るまでの間にどこに行ったのか、近所で更なる大騒ぎにならなかったのか、ここに答えがないとなると、夢では……となってしまうのが非常に残念
    しかもも~~~~いい加減現代も現代、携帯でパシャ!の一枚くらいあってもいいでしょ、廊下の防犯カメラとか
    でも基本的には真実だったと信じたい

コメントを残す


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

SNSでもご購読できます。