【コラム】生きている人間が一番怖い

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怖い話と言えば、霊的な実体験とか妖怪・魑魅魍魎の類との遭遇などが多いですね。
隔絶された地域や集落の風習・因習話や民話なんてのもジャンルとしては定番ですね。
新耳袋以降「都市伝説」とか「リアルホラー」と言ったジャンルが台頭して来ましたが、私はそのリアルホラーの中でも超自然的な部分じゃなくて「生きている人間の怖さ」を追求した話に結構惹かれます。
ホラー作家の岩井志麻子さんが稲川淳二さんのDVD「淳二稲川のねむれない怪談オールスターズ2」の中で「生きている人間が一番怖い」と前置きして始めた話が今でも強く印象に残っているので紹介します。

虚言癖のレイラちゃん

嘘ばっかり付く、知り合いのレイラちゃん。
彼女は嘘ばっかり付くんだけど自分でもその嘘も忘れてしまっている。
だから前に話した内容と食い違うことが普通にある。
でもそんな彼女でも矛盾しない点が1つだけあった。
レイラちゃんが東京に来たばかりの頃に連続婦女暴行殺人鬼が押し入ってきた。
彼女は予感がしていて、予め置いておいたゴルフクラブで犯人をガンガン叩いて警察を呼んだらしい。
でも、そのことを雑誌の特集にしようと取材の下調べをしていたら、実は未解決で犯人は捕まっていないことが分かった。
レイラちゃんは襲われた時の状況を岩井さんにこんなふうに聞かせてくれた。
「ねえねえ志麻子ちゃん。殺意を持った人間の顔って見たことってある?人を殺そうとした時の人間の顔って見たことある?」
岩井さんが「ないよ、そんなの」と答えると
「凄いんだよ。カッと目を見開いて、目の周りがブワッと赤く隈どりしたみたいになって、まるで歌舞伎役者が見得を切るようになるんだよ」
とゴルフクラブで叩いてる時に、犯人の顔を見たらそうだったと言ってきた。
やけに殺人鬼の描写がリアルだなと思った。
また別の話で、レイラちゃんが同じ店の女の子と一緒に住んでいた時に、たまにその彼女の彼氏が泊まりに来てよく痴話喧嘩してたらしい。
ある時、友達が彼氏を殺そうとしたことがあって彼女の顔を見たら
「凄いんだよ。友達が彼氏を殺そうとした時に、カッと目を見開いて、目の周りがブワッと赤く隈どりしたみたいになってまるで歌舞伎役者が見得を切るようになったんだよ」
と話してくれた。
更に別のパターンがある。
レイラちゃんの彼氏が昔、風俗店の店長やってた時にヤクザの親分に頼まれて富士の樹海に死体を埋めにいけと命令された。
いざ埋めようとした時に布団袋が動き出した。
ヤバイ生きてた!すると相棒が石を持ち上げて布団袋の頭にガンガンと叩きつけた。
その時の状況を彼氏がこう説明してくれたらしい。
「おいおいレイラ、人が人を殺す時の顔ってみたことがあるか?凄いんだよ、カッと目を見開いて、目の周りがブワッと赤く隈どりしたみたいになってまるで歌舞伎役者が見得を切るようになったんだよ」
状況は違うんだけど「凄いんだよ。カッと目を見開いて、目の周りがブワッと赤く隈どりしたみたいになって、まるで歌舞伎役者が見得を切るようになるんだよ」という下りは全部同じ。
その時に、ふと思った。
もしかして、レイラちゃんって人を殺したことがあるのかな?
その時、鏡で自分の顔を見たのかな?
その記憶を消したくて、嘘ばかりついてるのかな、と。

どうです?
怖くないですか?
ちなみにその後に、稲川さんが似たような体験としてフォローを入れてるんだけど、こっちもモロにリアルです。
稲川さんが連続愛犬家殺人事件の犯人と話した時。
「なんか言ってることがおかしい。話が実に細かくて面白くて、惹かれる。でも後で全て嘘だとわかった」
稲川さんにも「犬を殺す人」の話をした、とか……コワすぎです。。
岩井志麻子さんはこの手の生きている人間の恐ろしさというのを追求した本を角川ホラーから「現代百物語」シリーズとして出しています。
どれも生きている人間のお話なので、興味を持たれた方はぜひ。
ガチでコワイです。
ああ、そうそう。
個人的には同DVDに入っているAV女優の麻美ゆまさんの「新聞紙の中身」も大好きです。

■参考
埼玉愛犬家連続殺人事件

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コメント

  1. 名無しの悪魔 より:

    人が怖い…分かる…

  2. 匿名 より:

    埼玉愛犬家連続殺人事件 初めて知った…。鬼畜の所業や!

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