百姓姿の婆さん

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その日夜、友人(ビビリ)は和歌山の山中を、一人で車で家に帰ってました。
そして、いくつかのカーブの後、突然ライトの光に浮かび上がって来たのは、百姓姿の婆さん!!
うっぎゃぁぁあああ!!!

しかし背中には農作業用のクワを背負ってるし、足もあり、ちゃんとヨタヨタ歩いとる。
夜中の十時になろうというのに一人で道路脇を歩く婆さんに友人は怖いというよりは心配になり、あろうことか車をその婆さんの隣りによせ、声を掛けた。
「大丈夫すか? 今から向こうの町まで帰るんすけど、送りましょうか?」
「……」
婆さんは無言のまま、手を振って、いらんいらん、とジェスチャー。

しかし故郷の祖母を思い出した友人は何か感情が湧いたらしく、婆さんの行き先が山向こうの町であることを確認するとついでだからと婆さんを説得して隣りに乗せ山道をすいすいと進んでいった。
山道も終わりにさしかかり、その内に町が見えてきた。
「もうすぐ着きますよ~」
と、隣りに婆さんに目をやった瞬間、ひぃ!と友人は声をあげそうになった。
足が無かった。
さっきはあったのに。
歩いてたのに。
やばい、やばい。 友人はスピードを上げ、町に急いだ。

その時、婆さんがちらっとこちらを見た気がした。友人の背中が震え上がった。
「やべ~。なんでこんなのが乗ってんだ? と、とりつかれてしまうのかっ?」
やがて町の明かりが近づき、友人は町の入り口の手前に、車を止めた。
とてもじゃないが、家はどこですか?近くまで車で送ります、などとは言えなかった。
「つつつ着きました!!」
「……」
婆さんはドアを開けると、正座していた足を降ろし、丁寧に礼を言うとひょこひょこ歩いて帰って行きました。

559 名前:kebi 投稿日:02/05/02 19:30

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コメント

  1. 匿名 より:

    背筋がゾワっとした。
    今夜は眠れそうにないな・・・・。

  2. 匿名 より:

    ほっこりしたww

  3. バアさん、そりゃ無しだろぉ より:

    確かに夜中じゃビビるかも…

  4. 妙子 より:

    最後の最後で、受けてしまいました❗親切にしてあげて良かったですね❗

  5. 匿名 より:

    おいしい古典ギャグ話 ニヤリとしてしまったよ

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