海の話です。 戦中生まれの私が幼少のころ、祖父より聞いた話です。 その祖父は、さらに彼の祖父が話してくれた、と言っていましたから、そうとう昔の話だと思います。 ひなびた漁村では昔から、その村行きに流れ着いた漂着物はその村の所有物になる、というのがならわしでした。 ある日、嵐もなく、凪の日にの朝に、大きな帆船が村の沖に流れ着いたそうです。 帆は降ろされていて動かないので、村の人々は手漕ぎの小舟で船に近づいて、声をかけましたが何の反応もない。 しかし、投錨されていたそうで、船は潮に流される心配ありませんでした... 続きを読む

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