卒業式の後で

高校の卒業式が終わって担任教師を交えた全員参加のクラス会(謝恩会兼食事会)があった。先生が参加していることもあり酒類は出されなかったけど、予定では4~8時、その後は期限なしの二次会が先生の黙認のもとで開かれることになっていた。 俺は高校生活(もう10年近く前になる)を、端から見ればそれなりに謳歌してるように見えたと思う。クラスでは、というか学年全体でも人間関係をソツなくこなし愛想良く振舞っていたからだ。しかしそれは上辺だけの付き合いにすぎず、親友と呼べる友達は一人としていなかった。 中学時代... 続きを読む

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海からついてきた何か

去年の夏の話、ちょっと長くなるけど…… 太平洋側の海に友達たちと旅行にいったんだ。地名とかは言えないけど海も山もあってとってもいいとこだった。そこは友達の地元で実家に皆でお世話になる計画で会社の夏休みを利用して行ったんだ。 昼は何事もなくふつーに海で楽しんだ。夜は浜でバーベキューしながら花火やろーぜって事になってたから一度休憩して夜をまってた。オカルト好きな俺は『ばっちゃ「夜のあの浜は近づいちゃなんね」』的な展開を期待していたんだけど、そんな事無く向こうの家族も見送ってくれた。 夜にな... 続きを読む

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漂着した仏像

中学校2年のときの話。 俺は家は漁師じゃなかったが海辺に住んでた。というか前の浜から背後の山までせまくて細長い土地の町だったんで、ほとんどの人がが海辺に住んでると言えるんだけどな。 それで今でいうビーチ・コーミングを趣味としてた。当時はそんな言葉はなかったけど、簡単にいえば漂着物の収集のこと。日本海側の北の方だったから熱帯の貝やヤシの実なんてのはまず見られなくて、日本にない漢字やハングルが書かれた浮きなんかが多かったが、ときおり変わったものもあった。 ビーチグラスはもちろん古い陶器の破... 続きを読む

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御積島の洞窟

俺が小学校6年の時、今からだいたい15年程前の話だ。2年に1度、夏休みに母親の実家である山形県の飛島って離島に家族4人で帰省してた。 その年も、いつものように飛行機、バス、電車を乗り継いで酒田市へ。帰省の初日は酒田の叔父の家で一泊する。そして翌日の朝の便で飛島を目指す。 港に着くとばあちゃんが、自転車の後ろにリヤカーを連結して待ってた。そのリヤカーに荷物と俺と妹が乗り込み、一路母親の実家へ進む。この島、バードウォッチングとかあれこれあるんだけども一番は釣りだ。 知らない人はわからんだろ... 続きを読む

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海より這い寄るモノ

普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。訳を聞いたのだが余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。ここからは彼の語り。ただし、酔って取り留めのない話だったので、俺が整理してる。 まだ学生だった頃、友人と旅に出た。たしか後期試験の後だったから、真冬だな。旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。 何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かったころ既に日は暮れてしまっていた。山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付... 続きを読む

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