田舎

ねかぁねこ

突然ですが、僕の人生で唯一恐ろしかった話を書かせてもらおうと思います。 僕は、どこだかは言わないが、すごく田舎の出身だ。そして、僕の田舎にも洒落怖でもたびたび出ているような古い言い伝えのようなものがあった。それは「ねかぁねこ」と言う妖怪のたぐいの物でこんな話だ。 昔、ある僧侶が突然目が見えなくなったと言って騒いだことがあったそうな。僧侶に何故そうなったか聞いてみるとこう答えた。 ある日、歩いているとネコマタのような大きな猫が一匹、どこからともなく出てきて近寄って来たらしい。その猫は眼が... 続きを読む

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流れてきたもの

今の家に引っ越してくる前はもの凄い田舎の村にすんでいた。周りを山に囲まれ大きな川もいくつもあって、ほとんど外界の人が来ることは無かった。 ある日、学校から家に帰ると父親がちょうど出かけるところだった。長靴にカッパズボンと明らかに普通の格好でなかったし、もの凄く険しい表情をしていた。そんな父が何故出かけるのか気になり、長靴をはこうとしている父に「どうしたん?」と聞いた。 すると父は「ヒロちゃんが川で遊んでて行方不明になった」と険しい顔で言った。ヒロちゃんというのは近所の子供で3歳くらいの年だ。... 続きを読む

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母屋とは切り離され、敷地の北東の角、つまり鬼門にあたるところにその厠は建っていた。今でこそ田舎でも簡易水洗のおかげで明るく清潔なトイレに変身したが、ほんの数十年前までは薄暗く不潔な汲取り式の便所が大半だった。 Kさん宅の厠も、壁はところどころ地肌が見えるほど痛み、苔むした屋根瓦の何枚かは今にも落ちそうだった。申し訳程度の小さな窓しかない古い厠は昼間でも薄暗く、鼻をつく匂いが澱のように淀んでいる。日が暮れると、天井からぶら下がる、わずか10Wほどの明るさしかない裸電球が、弱々しく陰気な光で厠の内部を... 続きを読む

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鎌爺

小学生の頃、田舎に住んでいたいた時の話。 その村には鎌爺という、有名な爺さんがいた。その爺さんは身内の人が面倒を見ているらしいが痴呆症らしく、いつも同じ道端に座っていてボーとしている人だった。そしていつも手には何故か草刈り用の鎌を持っていた。そのせいでみんなから鎌爺と呼ばれていた。僕は近くにある百貨店や友人の家に行くときにこの鎌爺の前を通るのがものすごく怖かった。なにせボケてるし、その手にはいつも草刈り鎌、いつ襲ってきてもおかしくない。 ある日僕が、友達の家の近くで遊んでいた時のこと、激しく... 続きを読む

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旅の女

若い男が旅をしていました。その日は日が暮れるまでに宿のある町まで到着するつもりでしたが男は道を間違えて淋しい山奥に入りこんでしまいました。男は仕方なく野宿を覚悟しました。そんな男の前に農作業の帰りらしい老婆が現れ声をかけてきました。「良かったらうちへ泊まりませんか? 孫娘に食事の用意でもさせますから」疲れきってた男は孫娘という言葉に少し惹かれた事もあり老婆の家に泊めてもらうことにしたのです。 年頃の孫娘は清楚な雰囲気のかなりの美人でした。食事のあと、寝室に戻ろうとする男に娘はそっと手紙を手渡しまし... 続きを読む

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