これは五年程前からの話です。 当時、私は浮浪者でした。 東京の中央公園で縄張り争いに敗れて危うく殺されかけ。 追放されたあと、各地を転々とし。 最後に近畿地方のとある山中の神社の廃墟に住まうようになりました。 ふもとに下りては何でも屋と称して里の人の手伝いをし手間賃をいただいて食いつなぐ身の上でした。 その生活の中で一番恐ろしかったのは、人間です。 「何でも屋です。何が御用はございませんか」 といっただけでいきなり猟銃を向けられた事も御座います。 「一度弾を込めたまま人間に向けてみたかったんだ。ほらよ」 ... 続きを読む
人物にまつわる怪異
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逆打ち
四国八十八箇所を逆に回る「逆打ち」をやると死者が蘇る。映画「死国」の影響で逆打ちをそういう禁忌的なものとらえている人も多いのではなかろうか? 観光化が進み、今はもうほとんど見ないようだが、真っ白い死装束のような巡礼服を着て順打ち(八十八箇所を普通に回ること)をしている姿はまるで死での旅のように不気味で(実際行き倒れも多かったらしい)、確かにその逆をやれば死者の一人二人生き返ってもおかしくないような雰囲気があり、また地元の老人方も「逆打ちをしている」というといい顔をせず「やめたほうがいい」「罰当たり... 続きを読む
破滅する人間
一ヶ月ほど前の事、洒落怖まとめサイトで「人に生える木」という話を偶然読み、その話が私がまだ学生だった15年ほど前、当時よく飲みに連れて行ってもらっていた民俗学の教授の話と一部が“非常に良く似ている”ため、何か解決の糸口になればとその話をここに書こうと思う。 予め書いておくが、あくまで「一部が似ている」というだけで、情報が不足しており同じ内容なのかははっきりとは解らないという事を念頭に読んで欲しい。 ある日の午後、教授が講義の時間中やたら機嫌よくしていたため、何かあったのかと聞いてみると、以前から探して... 続きを読む
人に生える木
俺の友達に変なやつがいる、そいつの話を。 そいつは女なんだが、なんと言えば良いのかとにかく不思議な感じのするやつで、結構かわいいので最初俺は付き合いたいと思い色々しようとしたが、なぜか雰囲気的にできずいつの間にか普通の友達みたいになっていた。 その子が去年の11月に俺のアパートに遊びに来ていた時のこと。 最初はゲームとかやっていたが途中で飽きてしまい何となくテレビをつけてみていた。 特に面白いものがやってるわけでもなく、ぼーっと見ていると、そいつが独り言のようにボツリと「あ……この人もだ」と言い出... 続きを読む
鴨南蛮
全然恐怖話じゃないけど、まあこんなこともあったということで。 一昨年の話。父が血の病気になり、入院しました。 わたしは広告の仕事をしており、自分のマンションにさえ毎日帰れないほどの忙しさで父の見舞にあまりいけず母親にばかり迷惑をかけていたのです。 あるとき母親から仕事先に連絡がありました。 「もう、今夜だから」と言われ愕然として仕事をほうって駆けつけました。 父はそのときもう、昏睡状態でした。 手を握り親父と呼びましたが返事をしてくれませんでした。 翌朝、父は逝きました。 皆が悲しみに暮れ... 続きを読む
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