しずかちゃん

八年程前のある日、妹の部屋に用事があって二階の廊下を歩いていると、階段を降りていく背中が見えた。
髪と白いスカートの端しか見えなかったが、妹が下に降りて行ったかと思いながら部屋のドアを開けると、妹がテレビを見ていた。
うちは母子家庭の三人家族で、母親は仕事中。
狐につままれるってこんな感じかと思いながら、妹に下に降りて行った子の話をすると、
「あー、たまに見るよ」
とあっけらかんと言う。
怖がりな妹がアッサリ言うので、悪いものじゃないんだろうと思ったが、もしかしたらテレビを見ている妹の方がお化け? または狐? と思ったら怖くなって、自室に走って逃げて、母親が帰ってくるまで篭っていた。
帰ってきた母親には笑われた。

それから何回か同じことが自分と妹にあった。
ドアを開けると
「あれ?」
って言って、ああまたかーといった感じ。
母親だけは一度も遭遇しなかったが
「時々悪戯するくらいで、静かでとってもいい子だ」
と妙に可愛?がり、
「静かだから、しずかちゃん」
と呼ぶので名前までついた。

しずかちゃん遭遇から一年程経った夏、母親の故郷に帰省することになり、一週間程家を空けた。
帰ってくると、しずかちゃんはいなかった。
何故だか家のドアを開けた瞬間
『ああ、いなくなっちゃったな』
と思った。
妹も思ったらしい。
少し寂しくて、妹の部屋を開ける前に階段を確認してしまうが、それから一度もスカートの端と小さな背中を見ていない。
成仏したのかな。

655 1/2 2008/07/14(月) 23:32:42 ID:MtwwbJgtO より

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