肉般若

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押しかけ厨房で尽くしたところで悪いんですがもう一話愚痴書かせて……。
やっと自分パソ買ってここにカキコできるようになったんで。
今年の夏コミの悪夢です。
夏コミ前にね、コピー本やる友達の手伝いをしに家を開けてたんですよ、私。
翌日は楽しいコミケ、ペーパーも終わったし、張り切って行くか、と。
時間は夜の8時だったかなあ。
駅から歩いて戻って、自分のアパートとマンションの間の子のような自宅へいそいそ歩いて来ました。
私の部屋、三階の端なんですが、窓が明るいんですよ。
電気消して行ったはずなのに、なんで?と思って慌てて部屋に向かったら、なんか……ドア越しに人の気配があるじゃないですか。
気が動転しつつも慌てて鍵を開いたら、そこには見知らぬ四人の厨房が人の部屋で寛いでやがりました。
……ど、どうして部屋の中に勝手に入れたのよう……。
しかも、チェーンついてるのでガチャガチャしまして
「ちょっと!あなたたち、なんなの!?ここ開けなさい!!」
って怒るとですね、真中にいたメガネっ子がやっと気づいたフリをして
「ヤ○ちゃん~?」
とかって駆け寄ってくるんです。
なんで、友達の顔知らないの……よりも、もしかしてまだ来るのか!?
そう戦慄しながら、どうにか外れたチェーンにほっと息をついて飛び込み、慌てて言ったんです。
「ここ、私の部屋なんだけど、あなたたち、勝手になにしてるの!?」
と。
泥棒とかなんとか、言いようはあるんでしょうけど、友人たちには偉そうに言ってたんですけど、実際当事者になると気が動転しちゃってだめですね(泣)。
彼女の返事は、きょとんとした顔で
「え?○○さんでしょ?チャットでお友達になったじゃないですか。通販したし、住所わかってたから、明日コミケだし」
……はあ!?
「住所分かったからって……押しかけるなんて、なに非常識なこと言ってるの!?」
思わず本気で素っ頓狂な声で叫ぶと、残りの三人もきょとん。
しかも、人の部屋荒らしまくってるし。
いつからいたんでしょうか、布団ぐちゃぐちゃだし、なんか、台所とか、原稿とか、本とか、なんか、なんか色々……。
それでもちろん、不法侵入罪です。
カンカンになって警察に言ったんですよ。
やっと来てくれた警官さんにああだこうだ言ったんですが、彼女たちが友達ですと言い張ったこと、それから運悪くその時まだ登場してなかった○○が来て、彼女たちがなにごともなかったようににこにこと……。
そして、決定的な不運はその彼女と一緒に来た人です。
新ジャンルで友人になったばかりのOL!まともだと信じていた彼女が、事の発端だったわけですよ。
中に一人本物の友人がいるとなれば、事態は逆転します。
しかも彼女ったら公務員……(泣)。
わ、私の血税……。
いや、それはともかく、しかも未成年の中に混じる成人。
これが不味かった。
警官さんは口をぱくぱくさせる私を尻目に
「よかった、保護者がいるんだね。じゃあ、僕はこれで。多いんですよなんたらかんたら」
とか言いながら帰ってしまいました。
私の主張は全部無視。
話術達者で美人なOLが一見物凄くしっかりまともな人に見えたからでしょう。
それで私が
「○さん、なんでいきなりこんなことなってるの!?」
「前に泊めてってて言ったらあなたいいって言ったでしょ?電話したけどつながらなくて。携帯、ちゃんと持ってるの?」
「充電器忘れて・・・って、関係ないでしょ!」
「だめよ、しっかりしなくちゃ。この子達も泊まるとこ探してたみたいだから、ちょうどいいと思って。困った時は助け合いだものね」
にっこり、じゃないよ!
「だから、どうして入れたのよ!!」
「ご実家のお母様にお電話で事情を話したら大家さんに電話入れてくれたのよ。よかったわ、今買い物済ませてきたからなにか食べましょうね。食費はいいわ。宿代だと思って。でも私、料理できないの。○○さん料理上手でしょ?楽しみだわ」
……わ、私がつくるって、それより、お母さん……だ、騙されちゃったらしいよ……。
混乱する頭を抱えながらとにかく私は部屋に戻り、電話をかけました。
実家にです。
そしたら開口一番母に言われましたよ。
「いやあ、あんたにもまともな友達がおったんねえ。○さん丁寧でしっかりしてて安心したわ」
とかなんとか、心づけまで送ったらしく、完全に私が悪者です!
どんな話を母にしたのかは、多分言わなくても皆さん想像がつきますでしょう(涙)。
同人を快く思ってない母だったからなおさら。
それでも
「こんな勝手な話ってないよ」
と電話を切り、私は後ろでたむろする厨房5人とその○を見て言いました。
勝手なことをされたって泊める気はない。
自分で散らかしたものを片付けてさっさと出て行って!!と。
すると決り文句です。
「だってお金ないよ」
「野宿しろって言うの!?」
○は○で心底分からないといった顔で
「友達にそんなこと言うの?まあ、あなたが言うなら彼女たちは出て行けばいいんでしょうけども」
……あんたもよ!!彼女のわけのわからない理屈に眩暈を覚えながら
「あんたももう友達じゃない!出て行って!」
と言うと、彼女はむっとした顔で振り向き、打って変わって恐ろしい形相で彼女たちに凄んだのです。
「あんたたちみたいな子供と付き合うとどうなるかの証明よね。さあ、出てきなさい」
……って、あなたどっちの味方なんだろう。
そして、今度は彼女と厨房たちの戦いになったんですよ。
どういうこと!?
私は本当に暫くの間、罵倒し合う……というか、うお~んと泣く厨房よりも彼女が怖くて凍り付いてました(泣)。
とにかく、こんな狭いところで乱闘されてはたまりません。
壊れたら困る高価なものだってあるんです。
……というか、押入れの襖とか困る!
私はとにかく彼女らを止めました。
そして、そしてね
「やっぱりあなたは私の味方なのね」
長い黒髪ストレートヘヤを振り乱し、振り向いてにっこりと笑った彼女の顔が、私には般若のようでしたよ、本当に・・・。
怖かったんです。
叩き出したかったけど、とにかく怖かった。
私はとにかく厨房たちを追い出して、・・・性格には彼女が叩き出して厨房たちの荷物をその背中に投げつけたのですが。
部屋には、私と彼女が残されました。
分かってます。
追い出した方がいいことは。
でも……でもね、怖かったんですよ。とにかく。
長い髪をかきあげてくつろぐ彼女に乞われるままお茶を出して、私は恐怖でぶるぶる震える心境でとにかく荒らされた部屋を片付けて、彼女の買ってきたスーパーの袋を見て、また凍りつきました。
3キロもの牛肉、2キロもの鶏肉、豚肉、とにかく、入ってるのはあらゆる種類の肉、肉、肉!!!
いや、単にすごくお肉が好きなだけかも知れませんが、あのファイトを見た後ではきついです……。
しかも、ドアの外では叩き出された厨房たちがうおんうおんと泣き、ドアをこう、かりかり?とか。
思考停止した頭の中で、思わずこれって夢なんじゃ……って思いました。
私も。多分そう思う人いっぱいいると思う(泣)。
私は実は小説書いてますが、あの時の恐怖、こんな文じゃまだまだ巧く伝えられません。
ああ、だから二人して重そうにこの袋持ってたのか……と思いながら、私は恐る恐る彼女を振りかえって言いました。
「あの、これ肉しか入ってないんだけど」
すると返事は
「そうよ。みなエネルギーが必要でしょ?さあ、なにか作ってね。余ったらあげるわ」
……いらないでス……(泣)。
でも、最後に勇気を振り絞ってもう一回言ったのですよ。
「ところで、私はあなたのこと許してないんですけど。これ持って出てって下さい」
答えは、答えは、こ、怖い目での凝視!!!ただ、こっちをジロリと見たまま、静止するの!なにも言わないの!!怖いんですってば!!
「……明日コミケよ。いまさらホテル取れって言うの」
「で、でも、だけど……」
「……外の連中、うるさいわね。バケツに水入れて頂戴。水でも浴びればちょっとは静かになるでしょうよ」
……な、夏だけど、その発想が怖い!!
「い、いいです!その内諦めるでしょうから!!」
「……そうね。じゃあ早くして。お腹空いてるのよ、私。怒りっぽくなってしまうのよね」
……負けました。殺されそうな気がして(泣)。
半泣きになりながら冷蔵庫を開けて、いつまでもドアの前から消えない気配に怯えながらつくってたのですけど、こんな、肉ばっかりでご飯つくれって(号泣)。
私、一人暮しだからお野菜だってちょっとしかないのに。
そう思いながらどうにか野菜を入れて一人分つくって出したんですよ。
ちゃんと、一式揃えて。そしたら開口一番
「少ないわ。もっとよ」
ふ、二人分ぐらい作ったつもりだったのに(泣)。
一緒には食べなくても……。
でも、仕方なくまた別のものをつくってね、その傍ら滅茶苦茶に汚された台所を片付けてたんです。
そしたらドアが叩かれまして、言われました。
大家さんに。
「○○さん?この子たちだけどねえ」
慌てて弁解しようとドアを開けた瞬間、厨房たちは物凄いスピードで部屋に転がり込んで来て、言いましたよ。
「ケンカしちゃったんです~」
大家さんは大家さんで、私が必死に首を振っても
「仲良くしてくださいよ。苦情が出ますからね。ああ、でも○○さんにこんなしっかりしたお友達がいるなんて安心ねえ」
・・・気がついたら、背後に彼女が!!
またにこやかに挨拶を返す彼女に、私、言い返せませんでした……。
とにかくその後、私はご飯作りました。
背筋にぞわぞわしたものを感じながら、作りました!
電話したかった。
助けも求めたかったけど、怖くてそれどころじゃ……。
なんで携帯の充電器忘れちゃったんだろうとか後悔しながら、肉しかないような料理をつくって、大皿は一枚しかないし、唯一の大きなお鍋に入れて運んだんです。
「不細工な見かけねえ」
「入れ物ないんですよ。堪えてください」
そして、とにかく片付けようとしたら、後ろで6人が貪り食ってるんですよ……。
大鍋一杯の肉料理を。
しかも、その時気がついたのですが、彼女とんでもない大食らいなんです!
信じられないかも知れないですが、お肉の三分の二ぐらい一人で食べてたんじゃないかな。
その食事風景の異様なこと!
しかも、片手には1リットル牛乳!!恐ろしい!!!
この時にはもう、厨房たちの追い出しも諦めてました。
だって、また表で騒がれでもしたら……
以前に止まりに来た友人がお酒を飲んで騒いだ時にも怒られてるので(彼女はいい人です。その時だけ羽目を外しただけで、今も仲良くしてますし、反省してくれてます)また騒動になったらと思い、とにかく明日のコミケ本番まで我慢しようと思いました。それに一度友人から電話が入る予定なので、その時にSOSをと思って・・・。
それまでの辛抱だと思って、私の方はもう食欲なんてないので荒らされた部屋を片付けながら彼女たちの晩餐を眺めてました。
そして食べ終わった後、とにかく片付けをしてお風呂を沸かしましたよ。
もてなしのマナーがないとか怒られながら(泣)。
正直、無邪気に私に会えて嬉しいとはしゃぐ厨房たちの方が万倍可愛く見えました(号泣)。
彼女たちは原稿見たいとか、スケブ書いて下さいとか程度なので・・・とこの時は思ってましたが。
そして夜。一組しかない布団は当然彼女に奪われ、厨房たちがその回りでとぐろを巻いてるの
を横目に明かりを消されて、私は恐怖でどきどきしながらまんじりともせずに電話を待ちまし
た。掛けようとすると彼女に「どこへ掛けるつもりなの?」と怖い顔と声で聞かれるので。
こっち見て眠っている彼女が今にも目を開けそうで、本当に怖かったんですよ!!!
ミザリー見て味わった恐怖の何倍も怖かった……。
そして、いつまでも鳴らない電話に内心で最後は恨み言を言いながら、夜が明けて。
見てしまいました。電話線、引き抜かれてたんです……。
引き抜かれた電話線を震えながら見て、カチリと差しこんで、私はとにかく誰かに電話をしようと受話器を取りました。そっとです。
で、でもその瞬間
「どこに掛けるの?」
こっちを向いたまま寝ていた彼女の目がぱっちりと開いて、聞かれたんです!
いつのまにか起きてたんですよ!!私は本気で震えながら聞きました。
「で、電話線が抜けてるんだけど……」
「寝てるときの電話ってうるさいでしょ。それより、お腹が空いたわ」
まんじりともせずユラリ、と起きあがった彼女が怖くて、私はとにかく朝食を作りました。
見かけ、十人分ぐらいは。
その頃には厨房たちも起きあがり、一緒に食べれば? の誘いを必死に蹴って私はもうどうでもいいから早く彼女らが、いえ彼女だけでも消えてくれと祈ってました。
厨房もいやです。
でも、私には彼女の方が何倍もいやだったんです。
頼まれても食欲なんかかけらもない私はただひたすら事が終わってくれますようにと祈りながら部屋の片隅で座ってました。
昨日の今ごろは今日の本番をわくわくしながら待ってたのに(泣)。
信じられない。
そして食べ終わった彼女はおもむろに立ち上がり
「じゃあ、行きましょうか」
と厨房たちに言いました。
厨房たちはまだ私に未練があるようでしたが、やっぱり彼女が怖いのかな。
おとなしく返事をして言われるままです。
そして
「ご苦労様。じゃあ、この子たちは連れて行くから。おいたをさせたわ。叱っておくからね。……会場で会いましょう」
会いたくないです!
一番のおいたはあなたです!!
……そんなこと言えるはずもなく、私はこくこく頷いて彼女たちを叩き出し、とにかくチェーンかけて鍵もかけて、ずるずる崩れるように泣きました。
それで、とにかく凄まじい食事後を片付けて、手を拭いたところで漸く電話が鳴って、今日一緒に行く予定の友人の声が聞けたのです。
でも、でも内容は・・・。
「心配したよォ。電話出ないしさ。あ、でも○さんからメール来てた。うっかり蹴つまづいて彼女が抜いたって?美人なのにドジね。でもしっかりしてるし、あんたの友達じゃ一番じゃない?」
とんでもない!
でも、先手を打たれてました。
「それで、宿のない子達泊めてあげたって?人がいいのもほどほどにしときなさいよ。よかったね、彼女がいてくれて」
……なんだか、もう(泣)。
このときにすぐ話してもよかったのですが、なんだか全身の力が抜けて、私は電話を切ってへたりこんでしまいました……。
落ち着いたら、ちゃんと言おう。
そう思ったんです。
それでもなんとか会場について……この友達も実家の母、そして前の私同様彼女のことすっかり信じていたものですから言うに言えなくて。
せっかくのコミケです。終わってからって思ってたのが仇でした。
会場についてかばんを見たら、なくなってたんですよ。
サークルチケット。
私は個人サークルですが、実はこの友達も自分のサークルを持ってるので誰もチケットを使いません。
三枚纏めて入れてあったそのチケットが、きれいさっぱり封筒から消えていました。
誰にも渡す予定がないとは言え、ゲート前で凍り付きましたよ(号泣)。
でも、友人を撒きこむわけにはいきません。
私は友人を送りだし、泣く泣く一般の列へ並びました。
盗んだのは多分厨房たちです。
彼女、自分のチケットを持ってるので。
情けないやら悔しいやら、そして今になって部屋のものが盗まれてないか気になりましたが、やはりオタクですね。
気分はせっ書く何日も徹夜して頑張って入稿した新刊のこととか、悔しさとか・・・そんなことで一杯になってました。
それでお昼ぐらいかな、漸く中に入れて、目に入ったのはガランとした机。新刊は? と呆然とするところに朝分かれた友人が来てくれて、ことの成り行きを説明してくれました。
なんでも押しかけの売り子たちがここで本を売って、その売上金を私に渡すと言う名目で握ったところを、彼女が……あの彼女が取り返してこの友人に預けたとか。
ああ、またいい人度がアップしてしまって(泣)。
でも、泣き寝入りしたくないですよ。
ここで言わなくちゃと思った私が口を開く前に、様子を伺っていたとしか思えないタイミングで彼女がやって来たんです。
手には、宅急便搬入をした私の在庫の箱を持って。
「これ、遅くなったけど出したらどうかしら」
「わあ、○さん!本当に親切に!ほら、○○もお礼いいなよ!!」
……言えるはずがありません。
もう、泣きたいんだか叫びたいんだか分からない私ににっこりと笑うと、彼女は
「いいのよ。でも、チケットなくすなんて災難だったわね。あの子達だったなら、見つけたらこっ酷く怒るわ。ね、元気出して」
そう言って私の肩を叩きました……。
本当に、人当たりはいいんです。
恐ろしいほどいいんです。
すっかり騙された友人は呆然とする私を彼女に手渡す形で、私の売上らしいお金を私のカバンに入れて自分のスペースに帰りました。
もう、私の心境はイベントどころではありません。とにかくもう、いやで。凄く嫌で彼女から荷物を受け取ると、その足で宅急便出しに向かいました。
始まったらすぐに出して、帰ろうと思って。
そして、なんとか私は宅急便を出しました。
これだけ回りに人がいるのに、怖くてたまらない。
今にも肩を掴まれそうで、私はもう泣きそうになりながら箱を送って、友人たちに会うのも嫌で逃げ帰りました。
それからとにかく部屋の中でなくなったものがないかとか、通販の買わせとか……探したんです。
割といつも整理整頓してる方ですから、どうやらチケットのほかはなにも被害がないことが分かってほっとしました。
このときはまだ、頭が麻痺してる感じでもう、警察に電話をするとか、誰かに相談するとか思いつかなかったんですよ。
回り中彼女の味方で、私が悪者になる気がして。本当に怖かった!
とにかく落ち着いてから、落ち着いてからと心の中だか口だかで呪文のように唱えながら、私はシーツをはいで洗ったり床を掃除したりしてました。
この部屋に彼女の気配がかけらでも残るのが嫌だったんです。
心配してくれた友人の電話にも投げやりに答えて、とにかく私は怯えながら夜を迎えました。
今までこんなことが自分に起こるなんて思ってもみなかったし、いざこんなことになって、どうすればいいのか分からなかったんです。
それから夜、友人から電話がありました。
私が適当に「具合が悪くて」と言ったのを信じてくれたんですね。
今から来てくれるとのこと。
このときには私もずいぶん落ち着いてましたから、よかったよかったと思いながら待ってました。
それから数十分後、やっとドアがノックされて、すぐに友人だと分かったので喜んでドアの前へ飛んで行きました。
実は、一人暮しは危ないから、合図を決めてたんですよ。ノックの時は。
でも、でもとにかく言いたいことが沢山ありすぎてチェーンを外して開けたドアの前には、彼女が立ってたんです!!!!
私は硬直しました。
頭なんか真っ白です。
迂闊に開けた私が悪いんですが。
「あら、顔色いいわねえ」
「ど、どうして知ってるの……合図のノック……」
震えながら言った私に、彼女は笑って答えました。
「帰りがけ会ったのよ。彼女、携帯のナンバー教えてくれたから。それで聞いたの。私がそばに行くって言ったら、あなた怖がりだからってすぐに教えてくれたわよ」
中に入ってドアを閉める彼女に、私は思わず後ずさりました。すると彼女も一歩踏み込んで、手に持っていたまた沢山ものが入った袋を床に下ろしてからぐっと私の肩を掴んで言ったん
です。
「心配しないで。今晩、私がいてあげるわ。あの子たちのことも、心当たり探しましょうね。チャットで会ったんでしょう?すぐ分かるわよ。それより」
言った瞬間、ぐっと間近に彼女の顔が寄って、肩に爪が食い込みました(号泣)。
「あなた、あの子に余計なこと、言わなかったわよねえ……?」
肩が痛い!
でも、何より誰かこの人どうにかして!!
思い出しても、まだ全身に鳥肌が立ちます。
美人だけに怖いんですよ。あの時の肩の痛みも、忘れられません。
私は必死に首を振って「言ってない」と繰り返しました。
なんて言うのか……殺人鬼に目の前に田ってほほえまれたら、あの時の彼女の笑顔になるんじゃないかとさえ思って(泣)。
半泣きで部屋の中で立つ私には構わず、彼女は後ろ手にドアを閉めて鍵を掛け、入って来ました。
それから台所のところで思い出したように靴を脱いで並べて置いて、また私に近づいてずいっと袋を差し出すんです。
「ご飯、一緒に食べましょうか」
は、入っているのはまたしても肉、肉、肉!!!
なんかね、この時はもう自分の妄想だと分かってはいるのですが、この時はその中の真っ赤な骨付き肉が人間の肉に思えてなりませんでした。
「一人で平気です。……帰ってください。あなたのこと、もう信じられません」
でも、ここで折れたら後がない!そう思って私は必死にそう声を絞り出して、そのお肉も彼女に押し付けました。
「あら……どうして?」
理由、わかってるでしょうに彼女、平然と笑って、お肉も受け取ってくれないんです(泣)。
私はもう一人で殺人鬼と対峙してる気分でした。
「私が悪者になってもいいです。もうやめて下さい。帰って下さい!出て行って!!」
思わず叫ぶと、彼女は……か、彼女……。
ごめんなさい。は、吐きそう。ちょっと……トイレ行ってきます。
ごめんなさい。思い出して……。
思い出しました。言わないほうがいいかな。
でも一人で震えるのいやだ!!
か、彼女……彼女ね。
彼女、本当に鳥取出身ですよ(血涙)。
母親は北の方……。
彼女は私が差し出した袋を取って、いきなり中のお肉の袋を引き裂いて、お肉を鷲づかみにして私の口元に押し付けてたんです!!!(号泣!! しかも大マジ!!!!)
びっくりするじゃないですか、こんなこと、普通しないじゃないですか、私、思わずその手を払いのけたら、彼女は突然無表情になって言いました。
「お肉・・・生で食べるなら、それでもいいわよ?ただし、その場合は一人で食べなさいね」
私、もうなんか気持ち悪くなってトイレ掛けこんで吐いちゃったんです。
元々ストレスがすぐ胃に来る方なので。
口の中に残る血と脂の味とか、匂いがもう……
口元を押さえて振りかえったら、彼女は私につきつけたお肉を片手に持ったまま、無表情に立って私を見てました。
サイコホラーなんてものじゃありません……。実物に目の前に現れられたら、もう……もう……!!
「わ、私、気持ち悪くて今料理する気分じゃないんだけど……」
必死に、もう絞り出すように言っても、彼女、ただじっと私を見てるだけなんですよ。
いっそ、なにか文句言われた方が(泣)。
ただ私の繰り返す言い訳だけが空回りして、最後に彼女が言ったのはたった一言。
「だから?」
……(血涙)。
そ、そして、ゆっくりと私に近づいて、またその袋を私に差し出したんです……。
受け取るしか、できませんでした。
それでまた泣く泣くごはん作ってたんですが、その時に彼女の携帯が鳴って。
「はい。ああ……ええ。大丈夫よ。心配しないで」
友達だ!!
そう思った私はとっさに駆け寄って叫ぼうと思いました。
でも「助けて!!」って叫んだ瞬間、彼女が私がご飯つくってる間につけたテレビのボリュームを一気に上げて、届かなかったみたいで……。
しかも、またあの独特の無表情で私を見てます。そのまま
「……うっかりボリューム上げちゃったわ。ええ、・・・じゃあ、また電話させるわね。元気になったら。おやすみなさい」
そう言って電話が切れて、まんじりともせず私を見る彼女の恐ろしかったこと……!!
「……友達が来てて助けては失礼じゃない?あなた、案外人が悪いのねえ」
「…………」
震えて後ずさる私へゆっくり近づいてくるんですが、もう、なんかその姿は・・・この世のものとはとても思えませんでした(泣)。怖い!!!
「……お肉、焦げるわよ?早くして。お腹が減ると機嫌が悪くなるって昨夜も言ったでしょう?」
そう言ってもう乞えも出せないぐらい硬直した私の横を通りすぎた彼女は、袋に入っていた牛乳パックを取り出してそれを中が飛び出すぐらい乱暴に開け、こっちを見据えたままパックに口をつけて一気に飲み始めました。
わ、私……なんでここにいるんだろうとか、なんかもうそんな気分でしたよ。
それでとにかく大急ぎでご飯を作って、私は彼女の前に出しました。昨日と同じです。
なんか……人間の食事風景に見えないんですが。
それを尻目に、私は台所にいくフリをして玄関に走りました。
でも、でも手が震えてしまって!チェーンが開けられなくて、まごついた間に彼女が迫って来て、その時なんとかドアを開けて、飛び出したんです。
悲鳴を上げればって言われても、声なんか出せません!
せいぜい裸足で逃げ出すのが関の山です。
昨日から寝てないし疲れてるし怖いし気持ち悪いし!!!
でも、一気に腕を掴まれて中へ引きずり倒されてしまって。また後ろ手にドアが閉められたんです。
「まるで私が酷いことしてるみたいじゃない。どうしてそんなに震えるの?」
転んだまま凍りついた私の上に覆い被さるようにして言う彼女の髪がまた怖い(泣)。
正直、私はなんで彼女が私にこんな怖いことをするのか、分かりませんでした。
もっとも、そんな風にまとまった考えができる精神状態でもなかったのですが。
殺される!!そう思ったんですが、彼女はただまた元の通り座ってただご飯を食べて、それから私を見てあの笑顔で
「賭けてもいい。誰もあなたの言うことは信じないわよ」
それはそうかも知れないですが、こう言われればいくらなんでもなんでこんなことされるのか気になるじゃないですか。
だから聞いたんです。
だって、金銭目的でもないし、彼女に利がないでしょう?
でもね、その答えは
「あなたの善人面、鼻につくのよ」
私もです……(血涙)。
今は言われた意味、分かりますが……。
人の悪意がこんなに怖かったことは、ついぞないです。自分の行いも直さないとって思ったのは。
それで、彼女が低い声で理由を語ってくれました。
彼女が友達になりたがっていた作家さんを、横から私が奪う形で友達になってしまったこと。
誰にでもにこにこするのが気に入らないとか。
言われて、痛い事もありました。
言われないと自分が悪かったってこと、分からなかったりするじゃないですか。
ただ怖いのは彼女が言う理由は全部「私が○○のはずだったのに」と、あくまでも自分が最優先なんですね。正義なんです。
「……だって、殺しちゃったら私、犯罪者だもの。でも、あなたが悪いのよ。全部あなたが悪いの。分かる?」
彼女のその時の目、もう鬼火が光ってるようでした(号泣)。
怖くて、恐ろしくて、もう息も止まってたんですが、その時またドアが叩かれて。
のろのろ彼女とドアの方を見たら、友達の声が!
返事がないのを不審に思ったのでしょう。
もう一回叩いてくれて、思わず私の口をふさごうとした彼女の手を振り払って今度こそ「助けて!」って叫びました。
それで彼女を振り払ってドアに飛びついたんですが、どうしてもチェーンが外せなくて。
ただカギだけは開いたから、その隙間から友人の顔が見えたときは本当にうれしかった!!!
もう、この友人に私の言ってることが信じてもらえなくてもよかったんです。
この場に来てくれたことが、本当に死ぬほどうれしかったんですよ。
もうぼろぼろに泣いてる私と、その私を諌めようとしてた彼女の様子がおかしいことにやっと気がついてくれたのだと思います。
見る見る彼女の顔から笑顔が消えて
「○さん……。どう言うことなんですか?」
そう言ったときに、やっとチェーンが外れてくれました。
友達が入ってきてくれた瞬間、もう飛びついて泣く私におろおろしながらも、友人がその彼女を見て言ってくれたんです。
「絶対、なんか……○さんの方が怖いよ。なんなの?なにがあったの?なんでこの子こんな泣いてるの!?」
歯の根が合わなくて、ただ泣くだけで私はほとんどなにも言えなかったんですけど、多分私の状態や部屋の様子でなにかおかしいって思ってくれたみたいなんです。
部屋の床にまだ生肉が落ちてたりしたし。
彼女は、暫く考えてからまた笑って言いました。
「……人がせっかく遠ざけたのにね」
「だから、なんなの!?」
「私、あなたのことも嫌いになったわ……」
その時の、声。
目は見えなかった。顔とか、私後ろ向いてたから全然分からなかったんですが、ゾワリと私の首筋に鳥肌が立つのと同じタイミングでしがみついてた友達の身体も震えたのだから、想像がつきます(泣)。
それからおもむろに彼女はゆったりと部屋から荷物を取って、最初に彼女の怖い顔を見た私と同じように硬直した友人と私をゆったりと覗き込んで部屋を出て行きました……。
玄関に、最後にかじって食べ終わった骨付き肉の残骸を投げつけて!!!(号泣)
もう……後日談とか書いたら、ネタ扱い決定ですよね……。
いや、今の段階でもネタにされてるでしょうし、控えます。
私は今、もう同人誌はやってません。
余りに怖くてもろもろあった後、実家に逃げ帰りました。
彼女の消息は分かりません。ただ、私の身の回りからは消えてると思われます。
鳥取在住で(実家)、当時ロングヘアーの美人、見かけはちょっとしたモデルなみです。
人当たりのいい笑顔は抜群で、大抵の人は騙されるでしょう。まず一発で。
社交術とか、話とかも上手で、回りにいつも人がいるタイプなので。
ジャンルは飛翔系……でした。
今はちょっと分からなくなってます。すいません。
名前とかは勘弁して下さい。
でも、今ここにこうして書きこんだのは、自分がもう負けないと云う意思をはっきり持ったせいなので。
それでも時々夜とか怯えましたが。
一人を徹底的に叩いた後、興味が移ったらまた……って人のようです。ただ、彼女同人だけしているわけではないので……。
仕事は、郵便関係、でした……。
947 名前: 名無しさん@どーでもいいことだが。 投稿日: 2000/10/06(金) 10:40 より
※直接関係ないリアルな書き込みは削除しました。

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コメント

  1. 匿名 より:

    G県厨?も同人誌の話だったっけ
    この長さとテンションでネタだったら
    そっちの方がオカルトだよね
    コミケへの偏見が深まったわ

  2. 美人の基地は怖ろしい より:

    うーん…リアライズ…..

  3. 匿名 より:

    恐ろしく目が滑った

  4. 名無し より:

    誰とでも友達になるからそうなるんだよ。信用できるヤツばっかりじゃないんだからさ。あと書き込みのテンションで読みづらい。

  5. 名無し より:

    こんな目の滑るつまらない文章を書く人間が
    小説を書いているということが一番の恐怖
    面白くないんだろうなー

  6. 名無しの悪魔 より:

    コメントが辛辣。
    やっぱり人間ってダメだね。加害者より被害者を批判するあたり。

  7. 匿名 より:

    コメント見てもやっぱり人間は恐ろしいですね

  8. 匿名 より:

    長くてスッキリしないオチなのに、なんか微妙な嘘松感が漂ってるから、ホラーのつもりで読めばいいのかオタクのレポとして読めばいいのかわからなかった
    食べ物のくだりとか見るに嘘の話なんだからもっとスッキリするオチにして欲しかったな

  9. 匿名 より:

    小説書いてるとは到底思えないほどに読みづらい(血涙)

  10. 匿名 より:

    くっさ

  11. 匿名 より:

    こえー!こんなキチガイがいるのか!生肉トラウマだろうな…

  12. ドドンパ より:

    実話なら彼女は完全完璧なサイコパスだけど、文章があまりにもネタ過ぎて。小説書いてるんなら、もっとマトモな文章書けるはずじゃないの?

  13. 匿名 より:

    若い女性が「だわ、わよ」って当時としてもなかなか言わなかったと思う…

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