また、田舎の爺ちゃんに聞いた話をちまりちまりと書こうかと。怖いかどうかと言われれば相変わらずなので、まあ話半分程度にお付き合い頂ければ。 まだ俺や兄が生まれるよりいくらか前。時期的にはちょうど今頃、6月の終わりから7月始めの事だと言う。梅雨ただ中のその日、外は朝から土砂降りのような雨が続いていて、野良仕事に出ることもできなかった爺ちゃんは昼間から囲炉裏端で酒をちびちびと煽っていたそうだ。 他にやる事と言えば煙草を吹かすくらいしかなく、昼飯はとうに終えたとは言え夕飯の時間にはまだ随分と時間があ... 続きを読む
雨
雨が降る祭
O県N市……まぁ俺の地元なのだが、ここにはいわくつきの祭りというものがある。 Y川下流域の河原で毎年夏の終わりに行われているT祭りというもので、元々は大昔にY川が干上がった際に人柱にされた二人の兄妹への鎮魂とためのお祭りだったそうだ。『妹は妊娠していた』とか『兄妹は迫害されており、無理やり人柱にされた』といったような、穏やかでない話がたくさんあるが真偽のほどは定かではない。 ただ、あまり納得のいく形で人柱にされたわけではないことは確かなようで、その証拠に兄妹の恨みか悲しみか毎年お祭りの日には... 続きを読む
柿色の傘
先月下旬に出張で山形に行った時の事。駅前でレンタカーを借りて、ぐるぐるとお客さんの所を周ってさ。その日最後の約束先との商談を終えて、車を返す為に市内に向かって山道を走っていた。 商談の途中から雨が降り始めていてさ、帰る頃には叩きつけるようなゲリラ豪雨の状態。お客さんからは「気ぃつけてな」って言われて、山道でこの天気だし車の返却時間まではまだ時間的に余裕があったから「まぁ、のんびり行くか」って、結構ノロノロとしたスピードで走ってた訳ね。 山道はギリギリで車がすれ違える位の道幅でさ。しばらくすれ... 続きを読む
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