それは私が地方のローカル私鉄で運転士をしていた頃の話です。 季節は晩秋の……空には星も月も無く、風も無い暗い晩のことでした。 時刻は終電間際、この乗務が終われば本日の勤務も無事終了。 ひとつひとつ小駅を拾うように、列車は山間の単線を走っています。 とある無人駅を過ぎ次の駅も無人駅、ここで車掌が運転台に来ます。 次の駅は改札口が前寄りにあるので、集札に備えての何時もの慣習。 後輩の車掌と、遮光幕の下りた暗い乗務員室で軽い雑談を交わします。 山合いを抜け田園地帯、前照灯が直線のレールを照らしていました。 進行... 続きを読む
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