もう15年以上前の話。初夏に差しかかり少し汗ばむような日、新婚夫婦が不動産屋さんと一緒に中古物件回りをしていた。静かな住宅街のなか、お目当ての一軒家を見た時、思わず妻の顔がほころんだ。 2階建ての小じんまりとしているけれども綺麗な家。庭にはハナミズキの木が植えられ、薄桃色の花を咲かせてうっすらと甘い香りが漂っている。大きくはないが小さな庭があり、手入れされていたであろう芝生が枯れずに青々としていた。 夫婦はひと目でこの家を気に入った。夫が中を見学しようと白塗りの門をくぐり、玄関の扉を開ける。... 続きを読む
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