漫画家の水木しげるが書いた『のんのんばあ』の話に『引っぱる』というのが出てくるが、数十年前まで俺の住んでいた地方でもこれに似たことがあったんで書いてみる。 当時自分はまだ小学生だった。 『引っぱる』というのは、今まさに死んでいく人間は、その死のまぎわに生きた人を道づれにして冥土に旅立ってゆくことができる、というような話。 うちは四国の山奥の集落だったんだが、当時90過ぎのひいばあさんが肺炎になった。 ひいばあさんくらいの年代は意地の強い人が多くて、前日まで腰を曲げて畑に出ていた年寄りが、明くる日ぱたっと倒... 続きを読む
四国地方
シジマノカミ
自分からしたら洒落にならないくらい怖い事があった。 3年くらい前だったか、実家が老朽化したから解体した時に、業者から 「なんか、床下から出てきたんですが……」 と、筒状の箱を渡された。 その晩、家族で、なんだろうね?って箱を調べる事になったんだが、奇怪という言葉がお似合いな箱で、円の直径は13センチ、長さは22センチ、桐で作られていてメガネケースの様だった。 箱には和紙が貼られていて「シジマノカミ」と書かれていた。 しじま? なんだろう……というかこの箱どうやって開けるんだ? その箱がまったく不可解なのは... 続きを読む
大宮さん
昨日の話です。 いま四国の田舎に帰ってきてるんですが、姉夫婦が1歳の娘を連れてきてるんだけど、夜が蒸し暑くてなかなか寝付いてくれなくて、祖父母、父母、姉夫婦、俺、そしてその赤ちゃんの8人で、居間で夜更かししていた。 田舎は海沿いの古い家で、庭に面した窓からは離れが母屋の明かりに照らされて浮かんでいて、それ以外には姉夫婦の車が見えるだけ。 海沿いなので網戸越に波うちの音が聞こえて、蒸し暑いけど田舎の心地よさに包まれていました。 皆でお茶を飲んで語らっていると、姉はiPadを持ち出してきて、 「面白いもの見せ... 続きを読む
納涼祭
流れぶったぎって悪い。 怖くない話をさせてもらう。 俺が育った四国のとある村の話。 親の仕事で3年間住んだ村。 閉鎖的で且つ人口も少ないし集落と言っても過言ではないかも。 その状況下だからかわからんが斜視の人の割合は多かった。 多分限られた人口で繁栄してきたんだろうな。 血が濃いのだろう。 顔が体が手が今まで見てきた日本人とは少し違う。 そんな村。 毎年、盆の納涼祭で地元の神社で催し物をやるんだ。 これがちと異色で色んなお面をかぶった大人達が太鼓に合わせて踊る。 踊りとゆうよりは太極拳みたいなゆっくりとし... 続きを読む
寿命が分かる吊り橋
もう卒業して3年くらい経つけど、学生時代の話。 自称霊感がある先輩ってのがいて、同じサークルなのでたまに飲みに行っていた。 サークルは新聞部w ある時、四国のとある吊り橋を見に行きたいって先輩が言い出した。 どうやらいつもは他の友達といろいろ旅行しているらしいが今回はあいにく断られまくったらしく、なんか最後に俺のところに話が回って来たみたい(苦笑 吊り橋そばに売店? っぽいお店があったがえらくくたびれていて、店は閉まっていた。 それじゃ、そろそろ吊り橋渡るかな? って感じの時に先輩はおもむろにストップウォ... 続きを読む
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