集落

私も、いつか

某半島の先の方にあるひっそりとした村の話です。 話は江戸時代より前に始まります。ある偉いお坊さんがいました。そのお坊さんは自分が老齢になったことから一門の後継に地位を譲り、救いを求める人々を導くための旅に出ました。 西から東へ北から南へ色々なところを廻ったお坊さんはその村に行き着きます。そこでは貧しいながらも正直で親切な村人たちが慎ましく暮らしていました。海と山に囲まれた隠れ里のような村で、貧しい村落のことで寺や神社はおろか祠すらありませんでしたが、お坊さんは珍しい旅人として快く迎え入れられ... 続きを読む

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踏み入れるべきではない場所

始めに書きますが、とても長い話です。よろしかったらお付き合い下さい。 私がまだ小学校低学年の幼い子供だったころに、趣味で怖い話を作っては家族や友達に聞かせていました。「僕が考えた怖い話なんだけど、聞いてよ」ときちんと前置きをしてからです。特にじぃちゃんが私の話を喜んで聞いてくれました。私はそれがとても嬉しかったんです。熱心に聞いてくれるのと同時に、こわがってくれたから。 そんな折、私の作った話がクラスの中で流行りだしました。放課後の男子トイレで個室を叩くとノックが返ってくる。といったありがち... 続きを読む

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えんべさん

帰省したついでに祖母にコトリバコ的な呪わしい因習話が無いかと聞いたら残念ながら無かったんだけど、伯父さんがそれ系の話を知ってたので書きます。つっても友達が犠牲になったとか、お寺で怒られながら御祓い受けたとか、そういう直接的なものは無い。昔そういう奇習があったとさって話なので、洒落にならんほど怖いかと言うと首を傾げざるを得ない話なんだけど、スレ的には興味深いかな、と思う。 1980年代、伯父さんが都内の某大学生の時、某地方の文化調査で、教授のフィールドワークに助手、というか荷役人夫として同行したそう... 続きを読む

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おきつね様

私には小さい頃から多少の霊感があった。特におきつね様という狐の霊は、幼稚園に入る前から見えていた。(おきつね様というのは、度々私の前に現れる真っ黒な狐の影で、迷子になったときに家の近くの神社まで案内してくれたり、危険な場所から遠ざけてくれたりする不思議な存在。喧嘩した後泣いているときには尻尾だけ出してみたり、時には人の手の形になって遊んでくれたりもした。) 小学生のあるときから、人の身体の周りに、淡くぼんやりと色のついたもやもやが見えるようになった。部分によって色が違ったり、もやもやの広さ(幅?)... 続きを読む

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神様の婿

眠れないがてら昔話でも。俺の地元は山中にある集落だった。 だったというのは今ではその集落は過疎や車が必須などの不便さにより、ほとんどの世帯が山の麓の町に移り住んでるため今では先祖の墓が残っている程度だ。俺は中学卒業と同時に県外の高校に下宿し、地元に帰るのは1年に一回というのもザラで高校卒業後就職してからはほとんど帰ることもなくなった。 就職して3年ほどたった時実家から一本の電話があった。近いうちに実家に帰って来いというたまにくる催促の電話だ。俺は仕事が忙しくない時期だったこともあり久々に顔で... 続きを読む

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