私が育った集落は、小さな田舎町だけどそれなりの歴史があって、古くから続いている数年に一度のお祭りがある。 仏教や神道とは違う感じだから、おそらく民間信仰の一種なのかな。 別に特別オカルトな事がある訳でもなく、神聖な場所と言われる所に、お婆さんがお供え物と依代の木を持って行って、毎年選ばれる“神様の子”の役目の子供達が、数人で歌を歌うだけなんだ。 ただ、その儀式の行われる日は、その場所に集落以外の人間は入っちゃいけないと言われてて、それは、祀られている神様が依代に移る時に落ち着かないからだと教わってきた。 ... 続きを読む
集落・部落にまつわる怪異
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医者がすぐ辞める村
爺ちゃんは当時すごい田舎の山村に住んでて、村にはあまり評判のよくない医者が一軒しかなかった。 それで爺ちゃんの知り合いの年配の男性が盲腸になって、しかたなくその医者に手術してもらったんだけど、膿の処置が悪かったとかで腹膜炎を起こしてしまったんだ。 これは市の病院に運んで腸を出して洗うしかない、ということになったが、真冬で豪雪地帯なのでバスは動かないし、鉄道は最初からない。 けれど運のいいことに、たまたま村に陸軍の部隊が駐屯していて、事情を話したら馬そりにのせて市まで運んでもらえることになった。 それで鎮痛... 続きを読む
変わり果てた姉
これは五年程前に友人二人(仮にIとNとしておく)と俺で宅飲みをしていた時、オカルト好きなIが「怪談大会をしようぜ」と言って、それぞれが知っている話をしていた時にIから聞いた話だ。 ※古い記憶なんで細かい所はつじつまが合うように脚色してます。 Iは話をする前置きとして、 「これは俺の知り合いから聞いた作り話なんだが」 と言って話し始めた。 とある県のさらに田舎の集落に住んでいた男の子の話だ。 その子には祖父、父、母、姉の4人の家族がおり、それ以外に家には女中が3人と、寝泊まりしているわけでは無いが隣に住んで... 続きを読む
風車の村
僕がまだ小学生の時分。 おそらく中学年だったろうと思う。 夏のある日、車での家族旅行の帰り、どうやら道に迷ってしまったようなんだ。 見当違いの見知らぬ土地で日も暮れ、どこか奥まった集落に行きついた。 なんとか一軒の民宿を見つけ、両親と僕ら兄弟は一も二もなく宿泊を決めた。 その日の夜はあまり記憶にない。 疲れていて早々に寝てしまったのだろう。 夜が明けて、両親と僕らは朝食を済ませた後、散歩に出かけてみた。 迷い込んだとはいってもせっかくの旅先だ。 旅館を出てすぐ坂道が見える。 両脇には民家の並ぶその坂の上に... 続きを読む
泣き寝入り
私が小学校の時のクラスメートの話をしようと思います。 その女子は友達がいませんでした。 性格が悪く、ちょっとした事で暴力を振るったり怒鳴り散らしたりしたからです。 特に女の子なのに相手のことを「お前」と呼び、逆上すると「ぶっ殺してやる!!」と叫ぶのにはうんざりしました。 しかし、私達が彼女を仲間外れにすることは許されませんでした。 彼女は「部落」だったのです。 少しでも疎外されたと感じると彼女は親に泣きつき、激怒した親が学校に怒鳴り込んできたのです。 「うちが部落だから差別してるな!!」などと見当違いの科... 続きを読む
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