人物にまつわる怪異

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肉を食べないおじさん

親戚のおじさんの話。彼は肉を食べない。菜食主義者な訳ではなく、ただ単に好きではないだけだと言う。その証拠に魚は好物で、メザシや一夜干し等の干物は食卓に欠かさない。秋刀魚の時期になるとさも旨そうに2本は平らげる。 なぜ肉が嫌いなのか? と聞いた事がある。「話してもいいが、お前も肉が食べられなくなるかもしれないぞ」という答えが返って来た。そんな酷いトラウマがあるのかと内心怯んだが、何の事は無い。昔、おじさんが結婚するよりも以前、屠殺場で働いていたのだと言う。毎日家畜を解体していて気持ち悪くなったのか、... 続きを読む

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福島の保育園

福島から5月頃、関東に避難してきた。それまでの地元は避難制定地域よりもわずか数キロ離れているってだけ。 数キロ先は『もと人里』で誰もいない。でも自分達の場所は衣食住していいよ、の地域。目に見えない恐ろしいものと戦い続けるくらいなら、と転居を決意。転居に伴い、子どもは4月末まで保育所に預けていたんだけれど、その保育所の登所最終日に起こったことを今から書こうと思う。 その最後の日も、変わらず朝から預けにいった。「寂しくなります、お世話になりました」と先生方へ挨拶し、園児達へのささやかなものを渡し... 続きを読む

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山宿の怪

祖母の法事があり、先日10数年ぶりに故郷の山奥の町に帰ってみました。法事の後宴会があり、そこで遠縁の爺さんに面白い話を聞いたので書いてみます。 爺さんはその町から、更に車で一時間ばかり走る村のひとですが、(今では温泉街だってことで、そっちの村の方が栄えているんですけど)その村で代々、温泉宿を経営しているそうです。以下、爺さんが未だ壮年の頃の話ですが、便宜上、爺さんと記します。 昭和30年頃の事件だっていうから、まあ、そんなに昔ではない。腹心だと信じていた番頭の多額の横領が発覚した事が、この事... 続きを読む

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べっ甲飴

私がまだ小さかった時に体験した実話。 ある夏に近所の神社の縁日でたくさんの屋台が出ており、そこで『べっ甲飴』の屋台が出ていました。飴は小さくてまるい物という認識しかなかった私は、色付きガラスの様なべっ甲飴とむせ返る様な飴の甘い匂いにわくわくしました。 一緒にいた両親は『綺麗ね』とは言うが、『虫歯になってしまう』『こんな大きいのは食べ切れない』などの理由で買ってはくれず、べっ甲飴にすっかり魅了された私は次の日から毎日屋台を一人で見に行っていた。 数日続いた縁日の最終日になり、その頃には顔... 続きを読む

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墓参りで

数年前、つきあっていた彼氏と結婚をする約束をしていたんですが、お金使いが荒くて私の方が心変わりをしていました。このままこの人と結婚しても到底幸せになれないような気がして。 ただ、彼はちょっとした事できれて暴力をふるうのでなかなか言い出せず、どうしよう、いつ話そうってすごく悩んでいました。私の様子がおかしいと思ったんでしょうか、彼が休日にいきなり電話をしてきて『おかんの墓参り行くで、結婚の報告や』と。 彼の御両親は離婚後二人とも亡くなっていて、今日はお母さんの方のお参りするということなんですが... 続きを読む

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